パナソニックのお膝元は門真?守口?

 

総合エレクトロニクスメーカーのPanasonic株式会社。本社は門真市である西三荘駅目の前にあります。

「パナソニックといえば門真」「門真はパナソニックのお膝元」というイメージが強いですが、実際パナソニックの土地のどのくらいが門真市に面しているのかご存知でしょうか?

パナソニックの土地の割り振りはこちら↓

「知らなかった!」という方も意外と多いのではないかと思います。実は、パナソニックの敷地半分以上は守口市に所属しているんです。

話が少し変わりますが、広い敷地を所有しているパナソニック会社、その広い土地は数年前まで南門真にもありました。163道路にパナソニックの大きい支店があったことは比較的最近のように感じます。2015年頃に南門真の土地を三井不動産へ売却し、2023年の春には跡地にららぽーと門真とコストコが完成しています。

パナソニック=門真というイメージですが、面積では守口もかなり占めているということで今回は守口の記事で書いていきます!

●パナソニック本社は何故門真に?

 日本の上場企業の多くは東京に本社を置いています。上場企業の本社数を都道府県別に見た時、東京には2,000、大阪には400ほどの本社が存在します。その理由は言わずもがな、“企業や取引先も東京に集結している”・“交通の利便性が良い”という2つの理由が大きいと言われています。2011年の東日本大震災をきっかけにBCP(事業継続計画)が注目され本社を地方に移す会社も増えてきてはいますが、依然として東京に本社を構える会社は多いです。

 そんな中なぜパナソニックは本社を門真に置いたのでしょうか。門真に本社を建設するまでの簡単な流れがこちらです↓


大正7年 松下器具製作所を大阪市北区に創立

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工場を増やしてフル稼働させても注文に応じ切れないほど盛況した為、本格的に大きい工場を建てることになる

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あちこち探した結果、以前購入していた門真の土地に本店と工場を建てる
(以前門真の土地を気に入った松下幸之助氏が、門真の土地を買収していた。)

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昭和8年(1933年)6月に本店設立

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その後時代の流れと共に面積を広げ続けるも、登記上の住所は変わらず「門真市大字門真1006番地」のまま  

 社長が以前気に入り、既に買収していた門真の土地があった為に門真に土地を決定。しかし当時はすんなり決まった訳では無く、門真は大阪から見て北東にあり「鬼門」だという点で悩んでいたようです。ですが、「日本の形は南西から北東に伸びている、ならば日本は鬼門だらけだ!」という考えになり、反対の声もあったものの門真に本社を構える事を決意したそうです。

●持株会会社体制へ ~門真からいなくなる?~

◇門真から東京へ?

◇門真から東京へ?

 門真に本社を構えているパナソニックですが、社内分社であるパナソニックコネクティッドソリューションズ社は2017年に門真から東京へ本社機能を移転しています。コネクティッドソリューションズの社長である樋口泰行氏※1「門真発想の限界」という表現を用いていました。大阪の中心部でもなく少し離れた門真に戦略部隊がいることに世の中からの遮断感を感じていたようです。そして顧客、ビジネス、競合の理解を肌で感じることのできる東京に本社機能を移しました。

 ではこれからパナソニックは少しずつ門真から撤退していくのか?と思ってしまう動きの一方で、パナソニックホールディングス株式会社取締役会長の津賀一宏氏は「パナソニックは大阪で育ってきた会社であり、パナソニックホールディングスの本社を大阪から動かすことは考えていない。」と発言していました。

 パナソニックは現在持株会社制で9つのグループに分けられていますが、その内7つの事業所は現在門真に拠点を置いています。9つのそれぞれの経営者の考えによっては、今後パナソニックが門真から離れる未来もあるのかもしれません。

※1:樋口泰行氏…新卒で旧松下電器産業に入社後、日本ヒューレット・パッカード、ダイエー、日本マイクロソフトで経営トップを務める。2017年にパナソニックに戻り、コネクティッドソリューションズ社社長に就任。

◇持株会社制へ移行

 2022年4月、パナソニックはそれまでのカンパニー制を廃止し、持株会社制(分社化)をスタートさせました。それまでのカンパニー制とは違い、全社一体の人事政策や経営判断のプロセスから抜け出して各事業会社の競争力強化を見据えるのが狙いだそう。会社全体を一括で統率するか、分社化させた各々の会社に判断を任せるかでは、確かに判断スピードや効率面では利点がありそうではあります。

 さきほど書いたコネクティッドソリューションズ社も分社化された内の1つで、分社化されたグループの中で唯一東京への移転を決定した会社です。グループ内ではいち早くChatGPTやジョブ型を導入、週3以上の出社原則化、オフィスのフリーアドレス化、服装自由化など、独自の立ち位置を築いており、新卒の初任給に関してはパナソニックホールディングスやパナソニックを上回る金額をたたき出しています。

●新社屋、Panasonic XC KADOMA完成  

 京阪沿線を利用している人は目にしたことがあるかもしれません。2023年5月、パナソニックは西三荘駅出口から徒歩1分の目の前に新しいオフィス拠点を開設しました。名前は「Panasonic XC KADOMA(パナソニック・クロスシーカドマ)」!建物の見た目もさながら名前も洒落ている…。そして見た目だけでは無く中もとっても綺麗でお洒落なんです。

 入ってすぐのスペースは高さが9mもあり、なんと共有スペースになっています。1階と2階は地域の方に開放されており、どなたでも利用可能です。中ではお弁当が売られていたり、西三荘高架下に並んでいるお店が出張販売している時もあります。2階には「門真元町郵便局」から郵便局も移転してきていて、駅前なのですごく便利に利用できます。

◇パンサーズ・ガンバ大阪

 パナソニックグループは8つのスポーツチームを運営しています。多くの人が知っているチーム名でいえば、“パンサーズ”や“ガンバ大阪”でしょうか。バレーボールとサッカーのチームで、このチームからはオリンピックに出場するメンバーも多く輩出するほどのレベルの高いチームが構成されています。

 2024年7月から開催されるパリオリンピックではバレーボール・サッカー男女共に出場権を獲得しており、パナソニックのチームからは日本代表選手が多く選ばれてます。バレーボールで言えば、西田選手、大塚選手、山内選手、西山選手、山本選手、エバデダン選手、仲本選手の7名がパンサーズから選出しています。しかも、パンサーズは実業団のV1リーグランキングで1位を獲得しています。

◇パンサーズからブルテオン(Blue to Eon)に

 ここまでパンサーズと言い続けてきましたが、実は今年(2024)の6月に「パンサーズ」から「大阪ブルテオン」にチーム名を変更し、エンブレムも新しくなりました。更なる飛躍に向けて再スタートです。本拠地の大阪のファンと結びつきを強くするために企業名を外し、「Blue to Eon(永遠なる青)」という意味を込めて作られたそう。

◇Vリーグから新たにSVリーグが誕生

 2018年から今まではVリーグ1~3で開催していましたが、世界最高峰のリーグを目指して『SVリーグ』が2024年10月から誕生します。Vリーグの3つ編成では無く、プロリーグ化を目指すSVリーグの下にVリーグが2つあるような編成になりました。2027年には運営法人を持った完全なプロリーグを目指しています。

 パナソニックの大阪ブルテオン(パンサーズ)ももちろんSVリーグに参加しています。2024年の10月から始まるSVリーグをぜひ楽しんで応援していきましょう!

●パナソニックでお花見

 西三荘駅前のパナソニックには、「さくら広場」という面積16,200平方メートルの公園が2006年に開園しています。ソメイヨシノが190本植えられていて、満開の時期に空を見上げると桜で埋め尽くされるほどの美しい景色になります。春の満開の時期には普段入る事の出来ない夜にライトアップされた桜を楽しむことができる日もあり、お花見で有名な遠くのスポットに行かなくても近くで綺麗なお花見を楽しむことができます!

 入園料は無料ですが、普通の公園と違いパナソニック所有の公園なので開園時間が設定されています。

料ですが、普通の公園と違いパナソニック所有の公園なので開園時間が設定されています。

3/1-10/3110時~17時30分(入園は17時迄)
11/1-2月末10時~16時30分(入園は16時迄)

 時間が変更になる可能性もあるので、パナソニックのHPをご確認下さい。休園日は日曜日と年末年始です。

 夜桜が見られる特別開園は毎年3月下旬~4月中旬に予定されていますが、毎年の気象状況によってこちらの期間も変わるのでHPをご確認下さい。

●松下幸之助歴史館

 西三荘駅前から歩いてすぐのところには松下幸之助歴史館があります。松下幸之助氏の肉声を聞くことが出来たり実際の原寸大の建物があったりと、入ってみると楽しく見ることができる工夫が多く施されています。

 外観に関しては、1933年に初めて門真に本店を構えた際の建物を忠実に再現した建物になっており、目を引かれるような特徴的な外観をしています。

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 こちらの松下幸之助歴史館も入館料無料で、10時~午後5時までです。日曜日・祝日・お盆・年末年始はお休み。

 今の門真や守口があるのは、パナソニックの影響が大きかったと思えば、少し歴史博物館が気になってきたりしませんか?自分が暮らすまちの歴史を知るのはとても面白いものです。筆者の知り合いで松下幸之助歴史館を訪れた人はもれなく、「思っていたより面白くて楽しかった。」と言っていました。「歴史館」のイメージだけで言えば面白くなさそうな印象を受ける方もいるかもしれませんが、さすが大企業というだけあって楽しく回れるように様々なものが展示されています。大企業パナソニックの歴史を楽しく知ることができるので、是非行ってみてはいかがでしょうか。

●まとめ

 今回は、実は守口市に多く面積を持っているパナソニックについてお話させていただきました。大企業にも関わらず、東京でも大阪市内でも無く門真に本社を置くパナソニックが与える影響はかなり大きいものでした。門真・守口は松下電器の発展とともに大きく成長、進化してきています。多くの企業が東京に移転する中で変わらず門真市に拠点を置いており、創業者である松下幸之助氏への尊敬の気持ちを強く感じます。時代の流れとともにこれから東京に本拠地を置く可能性もあるかもしれませんが、地元と根強く歴史を歩んできたパナソニックを少しでも知っていただけたら嬉しく思います。