まるでカフェ⁉滞在型の守口市立図書館

―図書館の無い街脱却―

図書館は公共施設の中でも、幼児から高齢者まで幅広い世代に利用される施設です。図書館には「図書館法」という法律が有り、この法律のもと運営されています。法律の中で図書館は以下の通り定義付けされています。

図書館法第一章第二条「定義」より この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。 文部科学省「図書館の振興」関係法令より引用 https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho

日本全国に約3000あると言われる図書館ですが、守口にオープンしたのはつい最近の2020年6月。それまでは同地にあったムーブ21と守口市内文化センター等がその役割を担っていました。

 本来の図書館の機能は「資料提供機能」「教育機能」そして「保存機能」ですが、ここ数年全国的に進化し続ける図書館の流れを取り入れて、とても魅力的な図書館として、守口市立図書館は生まれました。進化型図書館になった守口図書館に今回はスポットを当ててみたいと思います。

●守口市立図書館の所在地

住所〒570-0003 守口市大日町2-14-10
電話番号06-6905-3921(図書館) 06-6115-5475(生涯学習フロア)
開館時間9時~21時
休館日毎週火曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始(12月29日~1月3日) 資料整理期間
アクセスOsaka Metro 大日駅より徒歩5分 大阪モノレール 大日駅より徒歩5分
仕様敷地面積:4012.61㎡ 建築面積:1927.81㎡ 延床面積:8689.38㎡
蔵書数開架図書:11万冊 閉架図書:11万冊

守口市立図書館の最寄り駅は大阪モノレール及び地下鉄の大日駅になります。

「守口市立図書館」になる前は「ムーブ21」という名前の建物でした。プラネタリウムが有り、当時は「図書館」では無かったのですが、それなりに本も置いてありましたし、ビデオ等を借りる事も出来ました。

 現在の守口市立図書館は、ムーブ21の頃の生涯学習施設としての多目的性を残しつつ、図書館機能を中心に据えて複合施設として生まれ変わりました。では早速守口市立図書館の中を覗いてみましょう。

●図書館のフロアマップを見てビックリ!本だけじゃない!

外観はそのままに図書館になりました!ですが館内は大きく改装されています。入ってみると本だけじゃない事がすぐにわかります。以前のムーブ21を知っている市民からすると、明るく綺麗になっている事はもちろんの事、昔の良さを残しつつ今風になっている事が一目瞭然です。守口市立図書館は、図書サービスに加えて生涯学習フロア(集い・学び・交流)が併存される施設として誕生しました。

守口市広報(2020年4月)より引用

www.lics-saas

守口市立図書館の利用手引きの内「生涯学習フロア」を見てみると、以下の通りとなっています。

4F生涯学習フロア(円形ホール、多目的ホール、ホワイエ)
3F図書館  一般図書コーナー(閲覧・ 2Fがメインライブラリー会議室、防音スタジオ、自習コーナー
2F自習スペース)  イベントホールもある
1F子ども図書コーナー、 キッズコーナー郷土資料展示室、授乳室、調乳室 飲食が可能な交流スペースが50席

守口市立図書館 生涯学習フロア 利用の手引きより引用

www.lics-saas

4F円形ホール音楽会、講演会、朗読会、演劇、舞踊、会議などに利用可。プロジェクターもあるので上映会もOK。椅子設置または平土間どちらでも利用可能。
多目的ホール音楽会、講演会、展示会、発表会等に利用可。客席・舞台共に可動式。基本は平土間。
3F防音スタジオバンド、楽器、ダンス等の練習に使用可。防音機能と共に壁一面に全身鏡が設置されている。
スタジオ1・2会議、ギャラリー(展示室)、アートスタジオとして使用出来る。床はカーペットなのでお子様にも安全。
  会議室1・2  会議室、創作室として利用できる。2つの会議室を繋げて広い部屋として利用する事も可能。 会議室1には流し台や冷蔵庫もある。

上記の貸室は1年前から予約が可能で、尚且つ一時間単位で借りる事が可能です。

貸室広さ(㎡)定員(人)料金(1時間単位)・税込
円形ホール2691502,100円
多目的ホール3142703,000円
防音スタジオ9530600円
スタジオ12912300円
スタジオ22912300円
会議室14016400円
会議室23112300円

※市外の方が利用される場合及び営利目的の場合は金額が変わります。

肝心の図書館もとても魅力で、メインライブラリーの2階を中心に、1階~3階までたくさんの本が並びます。開架図書は11万冊。利用時間に制限は無く「滞在型」と謳っているだけあって、好きな本を読みながら気ままに過ごす事が出来ます。図書以外にCDもあります!

ムーブ21の頃は薄暗いイメージがありましたが、守口市立図書館は白を基調にした明るいフロアが目に飛び込んできます。そして子ども用の図書に力を入れているというだけあって、子ども達が過ごし易い様に、靴を脱いで利用する事が出来る等工夫が施されています。

子ども達が過ごせるスペースと大人が読書を満喫するスペースでは、絨毯の色が違っています。子ども達が滞在する場所は淡く柔らかい色の絨毯。それに比べて大人たちが過ごすスペースは、紺色の絨毯が使用されていてとても落ち着くなと感じました。

●グッドデザインショー受賞!

地域住民にとって特徴ある公共施設として、大きな存在となりつつある守口市民図書館ですが、2022年にグッドデザイン・ベスト100に選ばれています。

バブル期特有のクセの強い建物を壊す(否定する)のではなく、貴重な空間資源として最大限に生かしリノベーションを行った点が評価されたと記述されていました。

詳細はこちら

GOOD DESIGN AWARD https://www.g-mark.org/gallery/winners/10696

             (↑日本デザイン振興会のウェブページになります。)

●貸出し・返却の負担が少ない

のんびりと自分のペースで過ごす事の出来る守口市立図書館ですが、従来の図書館と同様に貸出もしています。利用に当たっては「利用者カード」が必要ですが、これさえあれば、直接図書館に足を運ぶのも良し!まずは家で検索してみるのも良し!一気に世界が広がります。守口市立図書館の館内では、セルフ貸出機や検索機等も有ります。

そして借りたら返さなければいけない図書館の本!返却!筆者も面倒だなぁ~と感じています(笑)このかゆいところに手が届くのが守口市立図書館のシステムです。何と守口市内10ヶ所に市の拠点(公共施設)があり、そちらに返却する事が可能なのです。

守口文化センター(閉室時は1階管理事務室) 大阪府守口市河原町8−22
中部エリアコミュニティセンター大阪府守口市豊秀町2丁目5−5  守口市役所の地階
八雲東コミュニティセンター大阪府守口市八雲東町2丁目50−12 
北部コミュニティセンター大阪府守口市淀江町6-3
庭窪コミュニティセンター阪府守口市佐太中町1丁目6−45
東部エリアコミュニティセンター大阪府守口市大久保町1丁目南27−39
南部エリアコミュニティセンター大阪府守口市大宮通1丁目13−7 守口市市民保健センター
錦コミュニティセンター大阪府守口市菊水通4丁目20−10
西部コミュニティセンター大阪府守口市文園町8-8
イオンモール大日  1階駅前入口横エレベーター脇返却ポスト大阪府守口市大日東町1−18

 各拠点は図書館の分室ではありませんので可不可はありますが、借りたい本をネットで予約して受け取ったり、また返却したり、貸出の延期の他にもレファレンスサービスも実施しています。上手に利用する事で高いコスパ&タイパを実現する事が可能です。これは本当にマイメリットですね!

 返却については、もちろん守口市立図書館の返却ポストでもOKです。

 各拠点には今までもある程度の本が有り、図書館に似たシステムが採用されていました。そのシステムを現在も活用して、本が借りやすく返し易いシステムになっています。ただそのためには先程も起筆致しました「利用者カード」を作る必要が有ります。次は図書館を利用する為の利用者カードについて起筆したいと思います。

●利用者カードを作ろう

 守口市在住・在勤・在学の人が利用する(利用者カードを作る)事が出来ます。

利用者カード申込書に必要事項を記入して、住所・氏名・生年月日が確認出来る証明書を添えてカウンターに提示する。またオンラインで利用者登録の出来る「スマート登録」もありますので、出向く事が難しい人にとってはオンラインでの登録方法がおススメです。 詳しくは→守口市立図書館「図書館利用案内」      https://www.lics-saas.nexs-service.jp/moriguchi/guide/index.html

筆者は、図書館が出来る前に、文化エンター(エナジーホール)で利用者カードを作りました。もちろん守口市立図書館でも作れます(上記のカードとデザインは違うかも)。

 利用者カード作成時に、利用者番号が割り当てられ、パスワードを設定する事で「マイライブラリ」にログインする事が出来ます。Webサービスを登録しておけば、様々なサービスを利用する事が可能です。

メンテナンス中の時は図書館を利用する事が出来ません。この様な情報を先に知る事は無駄足を防ぐ、予定を前もって変更する等普段の生活を有益にしてくれます。本に関する情報を検索する事も出来ますし、Webサービスに登録しておくことで、電子図書館を利用する事も可能です。

●電子図書館スタート!

2022年7月に、もりぐち電子図書館がスタートしました。もう図書館どころか10ヶ所の拠点に行くのもめんどくさいという方には、マストアイテムではないでしょうか。家に居ながらにして、図書館の本を借りて読む事が出来るのです。何と貸出し期間が過ぎると自動で返却迄してくれるという(笑)ある意味至れり尽くせりです。返し忘れも起きません(笑)

 デジタル化された図書書籍を利用する為には先程の「利用者カード」を持っている人で「Webサービス」の登録をしている人になります。

 もりぐち電子図書館のサイトはこちらです。https://web.d-library.jp/moriguchi/g0101/top/

 不思議な事にWebだけど開館時間は9時~21時になっています。24時間じゃないんですねぇ~

音声読み上げ等の機能が付いた資料も有りますし、新着資料や検索機能もありますので、Web登録しておくだけでも悪くないのではないかと思います。

●カフェの様な図書館、カフェ有ります

おしゃれで、本当に居心地がいい守口市立図書館。「カフェみたい」なんて声聞きます!そのカフェ、図書館内に本当にあるんですよ。

コーヒー片手(有料ですが)に、吹き抜けになった交流スペースで本を読みながら、ゆったり過ごす事が出来るのはやはり進化型図書館ですね!全館フリーWi-Fi環境が整備されていますので、単に本を読むだけではなく、スマホやパソコンを持ち込んで学び等に活用する事も可能です。

 図書館にはまだまだアナログなイメージがありますが、「守口市立図書館は“本だけじゃない“」進化型図書館と言えます。もしかしたら複合施設としてこれからもっと進化するかも知れません。思わず期待してしまいますが、図書館はあくまで公共施設です。

 「知的インフラ」とも呼ばれる図書館は、私達に平等に情報を提供してくれ、また教養や知識を与えてくれます。無料(タダ)で私達を豊かにしてくれるのが図書館です。

図書館法では「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定められており、原則無料の観点から収益を求める事が出来ない施設になります。 無料という事で、自治体によっては年々予算が削られているのも事実です。

 図書館スタッフの皆さんは、集客の為に様々なイベントやアピールに力を入れてくれていると思います。図書館にお邪魔するとたくさんのパンフレットを見つけました。

そしてこちらのパンフレットは、守口市立図書館が誕生する前からのイベントです。

ロビーコンサートです。ムーブの頃から親しまれてきたイベントで、市立図書館になっても続けて欲しいという市民の要望で今に至ります。新しいもの(守口市立図書館)の中に、今も変わらず以前のものが存在し、受け継がれている事は嬉しい事だと感じます。以前の良さを引き継ぎながら、それでいてブラッシュアップを繰り返しながら、守口市民図書館がこれからもっともっと素敵な市民の居場所になってくれることを期待し、これからも足を運びたいと思います。