タイヤのサイズの見方から細かな事まで一気に解説
自動車にとってタイヤは欠かせない物です。 馴染みの深いノーマルタイヤやスタッドレスタイヤ以外にも様々な種類があります。自動車のタイヤを語るに当たって、まずはタイヤの歴史から紐解いていきたいと思います。
目次
●タイヤの歴史
現在使われているタイヤの原形(空気入りのタイヤ)が、最初に開発されたのは1888年、スコットランドの獣医師ジョン・ボイド・ダンロップによって、自転車のタイヤに使われたのが初めてと言われています。後に彼はダンロップとなるタイヤ会社を設立します。そしてこの空気入りのタイヤを初めて自動車に採用したのがミシュラン兄弟です。
建築会社を経営していたアンドレ(兄)と絵画の勉強をしていたエドワール(弟)は、祖父が経営していたゴムと農機具の製造会社を再建する為にパリから呼び戻され、現場で従業員たちから学び、着実に実力をつけていきました。
1889年のそんなある日、「自転車のタイヤがパンクしたがどうにかならないか」と一人のサイクリストが訪ねてきます。中までゴムが詰まったソリッドタイヤが主流だった時代に、サイクリストが持ち込んだのは最新の「空気入りゴムチューブ」タイヤを使用した自転車でした。
ソリッドタイヤに比べたら、格段に乗り心地がいいものの、木製のリムに糊付けされたタイヤは脱着に時間がかかる上、パンクするという弱点がありました。しかしミシュラン兄弟はこれを改良し、2年後15分で脱着出来るタイヤを開発。「デモンターブル」と名付けられました。デモンターブルとは、フランス語で分割可能という意味を指します。
1891年9月、デモンターブルを装着した自転車が「パリ・ブレスト間往復レース」で2位に8時間もの大差をつけて圧勝。この出来事がミシュランタイヤの名前を一気に有名にすると共に空気入りタイヤが普及していったと言われています。ちなみにパリ・ブレスト間レースは世界最古の自転車イベントと言われており、往復1,200㎞にも及びます。
フランスの地図は外務省HPより引用の上加工
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/france/index.html
1895年初めて自動車に空気入りのタイヤが装着されました。パンクの為、チューブの交換と修理の為制限時間内にゴールする事は叶いませんでしたが、途中優勝車の2倍のスピードで走るシーンもあったとされ、敗れはしても空気入りタイヤの優秀さが実証されて、以降多くの車に採用される様になりました。
1912年、カーボンブラックと呼ばれる炭素の微粒子が補強材として使われる様になります。タイヤが黒い理由も、このカーボンブラックが入っている為です。
1908年にJ.F.パーマーによって開発されたすだれ織りコードが1920年頃よりタイヤに使われる様になると、タイヤの寿命は飛躍的に向上しました。すだれ織りコードが使われる様になる迄は、平織の布にゴム素材を塗り込んだ物が使われていましたが、平織のため、タテ糸とヨコ糸の交差する部分がすり切れやすく、タイヤの寿命は2000~3000㎞程度と短命でした。
1940年代前後になると化学繊維が使われ始め、タイヤの寿命は更に向上していきます。また、1947年にチューブレスタイヤ、1948年にラジアルタイヤが登場します。それまで主流だったバイアスタイヤと比べ、ラジアルタイヤの登場によってタイヤの寿命は倍増しました。
●タイヤの役割
タイヤには4つの基本的な役割があります。支える・伝える・曲がる・やわらげると言った物理的な機能性は言葉にすると単純に聞こえますが、大変重要な役割です。
荷重支持 | 自動車自体の重量や乗車人員、荷物の重量を支える役割です。タイヤと路面とは、ハガキ1枚程度の接地面ですが、重たい車をハガキ1枚×4つのタイヤで支えています。人で例えると、爪先立ちで走ったり曲がったりしているのと同等になります。 |
駆 動 | 自動車のエンジンから発生する力やブレーキから発生する制動力をしっかりと地面に伝えて、走る・止まるを確実に行う役割です。車を前後へ進ませて、確実に停止させます。 |
進路保持 | 直進では真っ直ぐ走行し、カーブではしっかりとハンドル操舵を地面に伝えバランスを取るといった、進路を保持し安全に走る役割です。 |
緩 衝 | 地面からの凹凸衝撃をタイヤが内部の空気で吸収し、快適な乗り心地を保持する役割です。 |
これらの役割を基本に、タイヤには快適である事(乗り心地や静粛性等)、安定した運動性能(路面の状態に関わらず安全に止まる・スムーズに曲がる・真っ直ぐ走る)事が求められています。近年はこれらの性能に加え、環境面でも進化しています。
●タイヤの種類
自動車のタイヤは、大きく分けるとシーズン別になります。冬用タイヤとしてよく知られているスタッドレスタイヤ等はその代表例です。現在では季節だけでは無く、機能性の分野でも種類が豊富になってきました。簡単な相関図と説明を以下に起筆致します。
シーズンタイヤ | |
ノーマルタイヤ (サマータイヤ) コンフォートタイヤ | 普段、一番使用する事の多いタイヤ、一般的にノーマルタイヤと呼ばれるもので、降雪等の心配が無ければ通年使用可能です。 操舵性、安定性や燃費性能、耐摩耗性などに優れバランスの取れたタイヤです。 サマータイヤと呼ばれますが夏限定という事ではありません。 ノーマルタイヤの中に位置しながら「コンフォートタイヤ」と呼ばれるタイヤがあります。静粛性や衝撃吸収性等、車の乗り心地と安定性を重視したタイヤです。最近では抵抗性能の高い低燃費性のコンフォートタイヤも注目されていますが、エコタイヤと違って低燃費タイヤとしての基準は満たさないものもある為注意が必要です。価格が高い為高級車に採用されている事が多いですが、コンパクトカーやミニバン等多くの車種にサイズ対応しています。 |
スタッドレスタイヤ (冬タイヤ) | 冬場になると履き替える方も多いのではないでしょうか。雪道を走る事を想定して作られています。ノーマルタイヤと比べて、低温でも固くなり難い柔らかいゴムを使用し、トレッド面には大きなブロックが使用され、表面に細かい切込みを入れる事によって、雪道でのグリップを高めたタイヤです。 柔らかいゴムを使用している為、通常の乾燥路面での使用では摩耗しやすく、ゴムの硬化によっても雪道でのグリップが落ちる為、ノーマルタイヤより寿命は短くなります。価格もノーマルタイヤよりも高価になり、効果を発揮する寿命も製造から3年程が限界となります。また、深雪路面になるとチェーン等の併用も必要です。 スタッドレスタイヤは側面に「STUDLESS」と刻印されています。 |
スパイクタイヤ | 金属や硬質ゴム製のピンをトレッド面に打ち込み、雪道でのグリップを確保する目的で開発されたタイヤです。かつてはこのタイヤが主流でしたが、雪の無い時は路面への攻撃性等が問題になり、1980年代には製造・販売が中止、舗装路面での使用も禁止になり、今では見ることが無くなりました。 |
オールシーズンタイヤ | サマータイヤとスタッドレスタイヤの両方の特長を兼ね備えた、あらゆる天候に対応出来るオールシーズンプレイヤーの様に思いますが、雪道での性能はスタッドレスタイヤの方が高く、一般的な路面ではサマータイヤの方が性能が優れています。履き替える必要が無く突然の降雪にも尾慌てる必要はありませんが、積雪量が多い時や凍結路面等、季節性に特化したタイヤには及びません。 |
省燃費 | 乾燥した路面 | 濡れた路面 | 凍結路面 | 積雪路面 | 砂・砂利 | |
夏用タイヤ (サマータイヤ) | ◎ | ◎ | ◎ | × | × | △ |
冬用タイヤ スタッドレス | △ | △ | △ | ◎ | ◎ | ○ |
オールシーズンタイヤ | ○ | ○ | △ | △ | ○ | ◎ |
機能性タイヤ
オフロードタイヤ 大きく分けて3種類ある オールテレーンタイヤ(A/T) マッドテレーンタイヤ(M/T) ハイウェイテレーンタイヤ(H/T) | トレッド面に大きなパターンのブロックを配置し、未舗装路面でのグリップ力を高める目的で作られたタイヤです。一般的なタイヤは排水性を重視する為縦溝が多くなっていますが、オフロードタイヤは横溝が多くする事で悪路を走破する事が出来ます。接地面積を多くする為、低めの空気圧で使用される事が多く、タイヤの特性上、舗装路面での使用では、乗り心地や直進安定性・操舵性の悪化、寿命が短くなる等のデメリットがあります。 |
ランフラットタイヤ | タイヤのサイドウォールを補強し、パンク時でも時速80㎞で距離80㎞迄走行が可能となっているタイヤです。緊急のパンク時でも整備工場等迄走行する事が可能になります。価格はノーマルタイヤよりも高価になります。通常よりサイドウォールが硬い為、空気が無くなっても走行出来る構造になっていますが、整備工場の設備やスキルによっては、交換作業が難しくなる場合があります。 タイヤの特性上、パンクが発生してもドライバーにはわかりにくい為、空気圧モニター等が搭載された自動車への採用が多く、スペアタイヤや車載工具が搭載されていない自動車もあります。 |
スペアタイヤ | タイヤにパンクやバーストが発生した時に使用する為に搭載される緊急用のタイヤです。「予備タイヤ:Spare(スペア)」と「テンパータイヤ: Temporary(間に合わせ)」があります。 予備タイヤでは、通常装着されているタイヤと同じタイヤが搭載されています。 テンパータイヤは、文字通り「間に合わせ」のタイヤの為、通常より小さく細いタイヤが搭載され、一般的には通常タイヤの様に使用する事は出来ず、「時速60㎞迄高速走行不可」等の設定が多くなります。あくまで一時的に取り付け、整備工場等へ移動する為に用いられます。 近年では予備タイヤもテンパータイヤも搭載せずに、「パンク修理キット」が搭載された車が多くなってきています。パンク修理キットを使用する場合、修理材の液剤をタイヤに注入し、一緒に車載されているコンプレッサーでエアーを充填するのですが、タイヤ全体に液剤が回ってしまう為、使用後は原則的にタイヤを交換する事になります。また、ホイールにも修理材が凝固して付着している為、非常に手間が掛かります。 |
エコタイヤ (低燃費タイヤ) | 摩擦係数を減らす事によって転がり抵抗が減り、低燃費がコンセプトのタイヤです。一般的に、摩擦係数が減る事によって、乾燥路面でのグリップ力、ウエット性能と呼ばれる濡れた路面でのグリップ力も低下します。各メーカー摩擦係数を減らしながらもグリップ力を確保する開発をしており、ウエット性能についても最低基準等を設定して開発されています。 エコタイヤと低燃費タイヤは別物で、JATMAのグレーディングシステムの基準を満たしているタイヤを低燃費タイヤと呼びます。グレーディングシステムの基準を満たしていなくても環境に配慮したタイヤであればエコタイヤと名乗る事が出来ます。 |
スポーツタイヤ
ハイグリップラジアルタイヤ | スポーツ走行、サーキット走行、ワインディングロード等でのクルージング用に作られたタイヤです。高速域での安定性や操作性、コーナリング時に高いグリップ力を発揮する様に作られており、一般的なタイヤより高価になります。基本的に摩耗しやすく、元々の溝が浅い為寿命は短く、3000~5000㎞程度と言われています。 |
セミスリックタイヤ (Sタイヤ) 公道使用可 | モータースポーツ用に開発されたラジアルタイヤの一種です。高レベルなグリップ力とコーナリング性能を有し、コンパウンドと呼ばれるゴムの柔らかさの設定もされているモデルになります。公道でも使用は出来ますが、非常に寿命が短く高価な為、基本的にはおすすめしません。 タイヤ自体の温度に、最もグリップ力が発揮される作動温度域という物が設定されており、そこから外れるとグリップ力は著しく低下する他、溝面積率が低い為ウエットでのグリップ力は殆ど期待出来ません。 この辺りのレベルになってきますと、使用する自動車によっては足回り部品への負担が大きく損傷や故障の原因となる場合があります。 |
スリックタイヤ 公道使用不可 | トレッド面に溝(サイピング)が全くない、レーシングタイヤと呼ばれるタイヤです。スリックタイヤは、一般的なタイヤのゴムで路面にグリップといった考えではなく、表面をドロドロに溶かして路面に吸い付きグリップします。温まっていないタイヤは全くグリップしないので、走行前にタイヤを温めるタイヤウォーマーと呼ばれるものが付いています。そもそも、我々一般人では温まる前に、1つ目のコーナーでハンドルを切った瞬間にスピンする事間違い無しで、溝が全くないのでウエットでも全くグリップしません。 |
レインタイヤ (カットスリックタイヤ) | 上記のスリックタイヤに対して、レースシーンにおいて、ウエット路面で使用されるタイヤです。一般タイヤの様に溝が切られ、低い温度域で作動、ウエット路面で最高性能を発揮する様に作られており、乾燥路面での使用は不可となっています。 ウエット路面でなく乾燥路面を走行すると、オーバーヒートして表面のブロックが剥離してタイヤ自体を壊してしまう事になります。 |
●タイヤの構造
タイヤは見た目がゴムだけの様に見えていますが、実は複層構造になっており、大別して外部構造と内部構造に分けられます。また、タイヤは種類によって構造が違い、大きく分類すると「バイアスタイヤ」「ラジアルタイヤ」の二種類になります。
最初に、外部構造と内部構造について、下表にまとめます。
◇外部構造
ビート部 | カーカスの両端を固定して、タイヤ自体をホイールに固定する役割を持っています。タイヤとホイールが直接接触する重要な部分になります。 |
サイドウォール部 | タイヤの側面部分になります。カーカスの保護の他、この部分が屈曲する事で遠心力や衝撃に耐える役目を持っています。 |
ショルダー部 | 肩にあたる部分です。厚いゴムの層で出来ており、カーカスの保護をしています。 |
トレッド部 | タイヤが直接地面に設置する部分にあたります。 |
◇内部構造
チェーファー | リム(ホイールの一部)との摩擦からカーカスを保護する補強層になります。 |
ビードワイヤー | ピアノ線を束ねたもので、圧力や遠心力によるカーカスコードの引っ張りをしっかり受け止めてリムに固定する役割があります。 |
カーカス | タイヤの大元である骨格になる部分です。タイヤに掛かる荷重や外部からの衝撃、充填する空気の圧力に耐えてタイヤの構造を保持する役割があります。 |
インナーライナー (チューブレスタイヤ) | タイヤの内側に貼り付けられ、チューブレスタイヤにおいて、チューブの役割を担っています。 |
スタビライザー | ビードを補強し剛性を上げ、コーナーリングの性能を向上させます。 |
ベルト (ラジアルタイヤのみ) | カーカスを締め付ける事で、トレッド部分の剛性を高めます。スチールコードが使用されている為、俗にいう「ワイヤーが出ている」とはこの部分が露出している事を言います。ベルトはラジアルタイヤに使用され、バイアスタイヤではブレーカーと呼ばれる物が同様の役割を果たします。 |
オーバーレイヤー | 高速走行時等の遠心力からベルトの浮きや剥離を防止します。 |
トレッドゴム | タイヤが直接地面に設置する部分にあたります。 |
次にタイヤの構造の違いについてですが、ラジアル構造とバイアス構造について以下に起筆致します。
ラジアル構造 (ラジアルタイヤ) | カーカスをトレッド面に対し、直角に重ねて配置し、ベルトで補強した構造になります。RADIALとは「放射状」という意味になります。 カーカスには主にポリエステルが使用されており、タイヤのたわみが小さくなる為、タイヤ自体の寿命や燃費、運動性能等が優れるメリットがあります。 |
バイアス構造 (バイアスタイヤ) | カーカスを斜め(BIAS)に配置し、折り重ねてブレーカーで締め付けた構造を持ちます。 カーカスの素材には主にナイロンが使用され、近年の乗用車では採用されていませんが、バイク等ではまだまだ多く採用されています。製造方法が容易な為安価で、低速や悪路で乗り心地が良いというメリットがあります。 |
現在はチューブレスタイヤが主流ですが、タイヤの内部にチューブが入ったチューブタイヤもあります。それぞれのメリット・デメリットについて以下に起筆致します。
チューブタイヤ | タイヤの内側にあるチューブに空気を充填するタイヤです。タイヤ自体と空気を充填するチューブが独立している為、空気圧を下げて走行する事も可能です。空気圧を下げて悪路での接地面を上げる事により、グリップを向上させる事が出来る為、オフロード車等ではチューブタイヤが採用されます。またチューブが損傷しない限りエア漏れしない点やホイールに高い精度を求めないで済む点もメリットです。 逆に釘等(遺物)が刺さったりした場合は一気に空気が抜ける上に、タイヤとチューブの脱着が必要になる為、手間が掛かります。 |
チューブレスタイヤ | タイヤの内側にインナーライナーという物を備え、これがチューブの役割を果たす為、チューブを持たないタイヤです。タイヤ内に直接空気を充填し、タイヤとホイールを密着させます。チューブがない為、釘等の異物が刺さっても一気に空気が抜けず、熱によるトラブルにも強いのが特長です。 反面、タイヤとホイールが直接密着している為、タイヤのビート部分やホイールのリム部分に傷や損傷があると空気が漏れやすくなります。 |
●タイヤサイズの表記の見方
タイヤの側面にはよく見ると数字やアルファベットが羅列してあり、これがそのタイヤの情報になります。
ちょっと見えずらかったので別のタイヤで(^^;)
タイヤ幅(㎜) | 195 | タイヤのトレッド面の幅(mm)になります。この場合は195㎜である事を表しています。 |
偏平(扁平)率(%) | 60 | タイヤの断面幅(トレッド面)に対する、タイヤの高さ(サイドウォール)の比率になります。 偏平率=タイヤ断面の高さ÷タイヤ断面幅×100 偏平率が低い程、タイヤと地面の設置幅が広く、サイドウォール(タイヤ側面)の厚みが薄くなる。 |
タイヤ構造記号 | R | Rはラジアルタイヤである事を表しています。他にもバイアスタイヤがありますが、乗用車は殆どがラジアルタイヤです。 |
リム径(インチ) | 16 | タイヤの内径、ホイールの外形の大きさになります。 |
LI (ロードインデックス) | 89 | 規定の条件下でタイヤ1本が負荷出来る最大質量を表しています。この場合(89)の最大負荷能力は580㎏になり、4本合計で2320㎏になります。 |
速度記号 | H | 規定の条件下でそのタイヤがどれ位の最高速度に対応しているかをア笑わしています。Hの場合は最高速度210㎞/hになります。 |
●タイヤの製造年月日の見方
前二桁の「23」が製造週、後半の二桁「20」が製造年になります。製造週はLOT管理の為とされています(月単位より更に絞り込める)。1999年より前に製造されたタイヤは3桁表記になっています。
この場合、2020年の23週に製造されたタイヤである事を表しています。
●タイヤローテーション
タイヤのローテーションを定期的に行う事で、タイヤの寿命を長持ちさせる事が出来ます。一般的には、操舵にも使われる前輪の方が後輪と比べて摩耗しやすく、特にFF方式の自動車ですと、駆動輪と操舵を前輪で両方行うので、寿命が後輪に比べて半分以下になってしまいます。
自動車の駆動方式や、タイヤに回転方向が設定されている場合は、それに応じて適切なローテーションを行う必要があります。また、前輪と後輪でサイズの違うタイヤやホイールが採用されている場合は、ローテーションを行うことが出来ない場合もあります。
ローテーションの時期は、5000㎞程度を目安に行うのが適切だとは思われますが、中にはタイヤ自体にローテーション時期を知らせてくれるサインがあるものもあります。
●車検時のタイヤの基準
「タイヤがNGなので車検に通りません」と言われてタイヤを交換したけど、一体何がダメで車検に通らないのか?と思った事はありませんか?
タイヤが「車検に通る・通らない」の基準は、基本的には残り溝が1.6㎜以上あれば車検を通す事が出来ます。スリップサインと呼ばれる物があり、タイヤが摩耗してくるとこのスリップサインが出現するのですが、スリップサインが1.6㎜に設定されている為、スリップサインが出ていると車検には通りません。
ヒビ割れ等があっても車検を通す事は出来ますが、ヒビ割れの出ているタイヤは古くなっていて、ゴム自体が固くなり、グリップ力の低下やバーストの危険性がある為、早めに交換を行う必要があります。まだまだタイヤの溝があるから大丈夫と思っていても、タイヤはゴムで出来ている為、ゴムが硬化する事で性能は低下していきます。4~5年に一度は交換するのが望ましいです。
●タイヤ小話
◇タイヤカス
普段走行中に、道路でタイヤカス等という物にお目に掛かる事はまず無いと思います。実際は発生しているのですが、わからない程度に細かい物なので、認識は出来ません。これが、モータースポーツになってくると話が変わってきます。
スリックタイヤの説明でも起筆しましたが、レース用のタイヤは溶けるのでタイヤカスが尋常じゃない位に出る上に、かなり大きな物が出ます。コースのレコードライン上にこびりつく細かなタイヤカスは、「ラバーが乗る」といって、グリップが向上する為に、レーサー達にも歓迎される要素です。レースが進む程、ラバーが乗ってラップタイムの向上にも繋がります。
一方、大きく剥がれ落ちたタイヤカスが、コースのレコードラインを外れた所にも徐々に溜まっていき、これを踏む事によってタイヤの表面に大きなタイヤカスが貼り付いてグリップを著しく低下させます。「ピックアップ」等と呼ばれる現象ですが、前の車を追い越しするのに、無理なラインやレコードラインから外れた所を走った際に起こる現象です。
サーキットでは、タイヤカスを模した裂きイカなども販売されている所があります。見た目が本当にタイヤカスで、中々食欲は減退する仕様になっております。好きな方には喜ばれますが・・・。
◇コンパウンド
タイヤのトレッド面のゴムに配合される混合物の事を言います。コンパウンドによってタイヤの柔らかさが決められ、柔らかい程グリップ力は向上しますが、その分摩耗しやすく寿命は長くありません。固くなると寿命は延びますが、グリップ力は低下します。エコタイヤ等も、このコンパウンドの配合によって作られています。
レースシーンになると、「ソフト」「ミィディアム」「ハード」の三種類のコンパウンドのタイヤが存在します。ソフトは柔らかくグリップ力が高いですが、寿命が短い為、予選等に使用される事が多くなります。レースのカテゴリによっては、1スペック制といってコンパウンドが指定されている場合や、レース中に必ず異なるコンパウンドのタイヤへの交換を義務付けているルールも存在します。
◇バイクのタイヤ
バイクのタイヤは車とは全く違った形をしています。バイクは車体を倒して旋回するという特性上、タイヤもトレッド面が丸く作られています。その為タイヤが傾いても接地面積はほぼ変わらない様に設計され、また安定したグリップを維持出来る様になっています。
バイクの場合、新車標準装備のタイヤがバイアスタイヤといった車種もまだまだ多くあるのが特徴です。
近年のスポーツ用タイヤでは、直進時に使用するセンター部分と、旋回時に使用するサイド部分で異なるコンパウンドで構成されたタイヤもあります。特にバイクのタイヤは、限られた接地面積で走行する必要がある為、この様な工夫がされています。
比較的安価で、レース用と遜色ないスペックのタイヤが選べ、車検に対応しているものも多くありますが、溝が少なくスリック寄りのタイヤになってくると、旋回時に倒していくと、タイヤの接地面が、実質スリックタイヤ状態の部分を使用する事になり、総じてウエット路面には弱い傾向にあります。ウエット路面では、銘柄とハイパワー車の組み合わせよっては、交差点の徐行レベルで豪快にテールスライドを演じる事になります。
●まとめ
安全で快適に自動車を運用するには、タイヤは非常に大切な要素です。車の部品の中で唯一路面と接しているのがタイヤです。日常の点検の中で、空気圧は適正か、偏摩耗はしていないか、ひび割れは無いか等をチェックする事が、走行時の安全を確保する事になります。また、タイヤを交換した際は慣れる迄慎重な運転を心掛けて下さい。
スピードが出るとタイヤと路面の摩擦によるロードノイズ(騒音)が発生します。ロードノイズやパターンノイズ(タイヤの劣化や空気圧等が原因)は気付かない内にドライバーの疲労の原因になります。タイヤを見直す事で違和感や過度な疲れを改善する事も可能ですので、もし何らかのトラブルや気掛かりな事がございましたら、お気軽に弊社にお問い合わせ下さい。