運転のコツ

 

 自動車の運転は得意ですか?バッチリ得意な人から、ペーパードライバーの人迄、様々な人がいると思います。 運転が得意な人も「こんなコツがあったのか」と感じたり、運転が苦手な人も「なるほど、こうすればいいんだね」そんな風に思って頂けるような、ちょっとした運転のコツを今回はお送りしたいと思います。 高度なテクニックを持ち合わせていなくても、ちょっとしたポイントを押さえる事で、ご自身も同乗者の方も疲れない快適なドライブを体得する事が出来ます。

 なお、これから紹介する練習内容を実践する際は、広くて他車や交通の迷惑にならない場所で、協力者や周囲の安全に十分配慮した上で行って下さい。

●基本のポジション合わせ

 「運転ポジション(ドライビングポジション)の最適化」は、余裕を持って、且つスムーズに自動車を運転する上で欠かす事の出来ないものです。車と人とが一心同体となれるハンドルやペダルのポジションの合わせ方から見ていきましょう。

◇シートポジションの合わせ方

 まずはシートポジションを合わせていきましょう。シートに深く腰掛け、背もたれにきっちりと背中が付くよう着座します。その状態からシートの前後の位置を調整しましょう。

 アクセルペダルを完全に踏み込んだ時に、完全に足が伸び切らずに、膝が少し曲がる位の位置に調整します。そこからブレーキペダルの踏み加減を確認します。こちらも完全に踏み込んで膝が曲がる余裕を確保します。

 マニュアル車の場合は、クラッチペダルのストロークがどのペダルよりも一番大きくなるので、クラッチペダルを基準に合わせます。リクライニングの調整は、ハンドルの頂点に手を置いた時に腕が伸び切らないように調整します。

◇ハンドルポジションの合わせ方

 ハンドルに調整機能が付いている場合は、ハンドルも適切なポジションへ調整しましょう。ハンドルを10時10分の位置で両手で握った時に、両肘が90度位に曲がる所が好ましいです。メーターが全てきっちり視認出来る位置に調整しましょう。

◇ミラーの合わせ方

 ルームミラーは、リアウインドウから後方全体(リアウインド全体)が見渡せるように調整します。くれぐれも、自分の身だしなみを確認する為のミラーではないので、自分の姿は見えなくて結構です。

 サイドミラーは、ミラーに車体の1/3~1/4程度が映り込む様に左右を調整し、上下は地面とそれ以外(地面より上)が半々程度になる様に調整します。ミラーに車体が映らない様に調整している人が多いですが、車体が映っていないと、正しい車両間隔が掴めない原因になります。

 自動車の運転席からどうしても死角になる箇所が出来ます。ピラー(車の支柱)やウインドウよりも下の部分等は死角になりやすい場所です。サイドミラーを調整して如何に死角を減らすかが重要になります。

●視界の確保

 正しいポジションが設定出来たら、次は正確な広い視界の確保をしましょう。自動車の運転において、視覚の情報は非常に重要です。広い視界を適切に確保する事で、余裕を持った運転が出来る様になり、運転の上達にも繋がります。

◇フロントガラスを綺麗にする

 フロントガラスが汚れていると、視界が悪くなります。外側は洗車等の際に綺麗にする事が多いと思いますが、内側は綺麗にしていますか?フロントガラスの内側が汚れていると、雨の日等に曇りやすくなったり、夜に対向車のヘッドライトで見えにくくなったりと、デメリットしかありません。内側まできっちりと綺麗にして、クリアな視界を確保しましょう。

 内側の掃除の仕方ですが、よく絞ったタオル等で拭き掃除を行います。乾き過ぎ・濡れ過ぎは良くありません。汚れが酷い場合は、ある程度汚れを落とした、新しいタオル等を使用しましょう。汚れたタオルで拭き続けても、汚れを伸ばすだけで綺麗にはなりません。  フロントガラスを拭く時は、縦方向ではなく、横方向に拭くようにしましょう。理由は、自動車は走行中、前方から後方へ景色が流れていきます。縦に拭くと拭き跡が縦に残りますが、横に拭くと拭き跡は横になります。無意識レベルの話になりますが、人間の目は景色が流れる方向の横の拭き跡のほうが、疲れを感じにくくなっています。疲労は長時間の運転等に大きく影響してきますので、窓ガラスは横方向に拭くようにしましょう。

◇サイドミラーを綺麗にする

 サイドミラーに水滴や雪がついている場合も、視覚が悪くなり運転の妨げになります。雨の日等は仕方ありませんが、発進前に一度拭き取る様にしましょう。また、サイドミラーはフロントドアのガラス越しに見ることが多いので、フロントドアのガラスを綺麗にしておく事も大切です。

●車両感覚の掴み方

 正確な車両感覚を養う事は、安全で確実な運転操作を行う上で大きな支えになります。車の前後左右の距離感(車両感覚)を掴む迄は、駐車等が苦手と感じる人もいると思います。車両感覚が身に付けば、車庫入れや縦列駐車の苦手意識も大きく改善されますので、これから紹介する練習方法を試してみて下さい。

 どんな自動車に乗っても、適切な車両感覚を把握出来るのが一番理想ですが、まずは自分の自動車で完璧に把握出来るようにしましょう。運転経験を積み重ねる事で判断する材料が自分の中で集積され、車両感覚の基礎となっていきます。

◇前後感覚の掴み方

 まずは、車両の前方感覚の掴み方の練習です。自動車の前がどこまであるのか?ですが、一番わかりやすいのは、自動車の目の前、当たるか当たらないかの所に、誰かに立ってもらう方法です。そこから、30㎝、1m等と距離を伸ばしていき、見え方から距離感を覚えます。

 1人で練習する場合は、壁や白線等を使って同じ様に練習します。何度も降りて見た目の自分の間隔と、実際の距離を確認してその誤差を縮めていきます。日没後であれば、ヘッドライトの照らす光の範囲や大きさも距離感の判断基準になります。

 その他にも、前方に停止線等がある場合はそこからも判断出来ます。停止線にピッタリと自動車が止まっている時に、停止線がどの辺りに見えているか、例えば、「ミラーの下のこの辺りに停止線が見えているな」等、視覚的に車両感覚を掴める様になる事が重要です。

 後方感覚の練習は、基本的には前方感覚の方法と同様ですが、前方に比べて後方は見にくく、運転席から遠い為、距離感も掴みにくいので夜等は特に注意が必要です。

 バックミラーや目視で確認する事に加え、ブレーキランプやバックライトの照らし具合や範囲の大きさ等から、判断出来る事が望まれます(壁に近づくほど照射範囲が小さくなる)。最近ではバックカメラが搭載されている自動車も多くなってきましたが、バックカメラを使用する際も、目視でも確認をする事が大切です。  よく見えている様に思っても、意外と死角があったり、カメラの視野外から歩行者等が出てくる事もあります。カメラの特性によっては、モニター上の距離と実際の距離が異なる場合もありますので、100%信用せず、自分の感覚を大切にしましょう。

◇側方感覚の掴み方

 車両の側方感覚、特に左側(助手席側)がどこまであるのかわからない・・・と仰るお客様が多くいらっしゃいます。わかっているつもりが全く左に寄れていなかったという話も耳にします。

 まず、白線等を左前後のタイヤで踏んでみましょう。この時、フロントガラスから見える白線の位置で、見え方による感覚がわかります。わかりにくい場合は、ダッシュボード上等に、白線が見える位置にテープや付箋等を貼り目印にするとわかりやすくなります。白線を踏む位置の感覚が掴めたら、白線の内側ギリギリに寄せる、白線の外側にタイヤを持っていく等の練習をして、細かな感覚を掴みます。

 左側がわかるようになってきたら、今度は、ガードレール等の目標物に向かって、ギリギリに寄せて停車する練習をしましょう。ミラーは車体よりも外側に出ているので、目標物の高さに注意が必要です。ミラーの位置より高さのある物に、ギリギリに寄せて行った場合、車体を寄せきる前にミラーが接触する事になります。車体自体の感覚が掴めたら、今度はミラーを含めた感覚もプラスしていきます。車体分にミラー分を考慮するだけなので、比較的スムーズにいくのではないでしょうか。

 日常で、ミラーギリギリに寄せる必要はあまり無いかも知れませんが、狭い道路で対向車と行き交う際等には、大切な感覚になります。

●基本的な運転のコツ

 基本的には「タイヤが今どの位置を通っているのか」をイメージしながら運転する事で、車両感覚は向上します。そこから「どの位置にタイヤを通すのか」をイメージしながら、そのイメージをトレースして、実際の軌道とイメージの誤差を修正していく事により、操作の精度が向上していきます。

 イメージがわかりいくい場合は、煙草の箱位の大きさの固くて車で踏んでも支障がない物を、目標物として設置して、それを各タイヤで踏んでみて、実際の軌道とイメージの誤差を修正する練習をするのがわかりやすいかなと思います。

 細かなコツは、これから各項目で説明していきたいと思います。

●運転中における視線運びのコツ

 皆さんは運転中、どこを見て運転していますか?「そんなもん、前に決まってんだろ」という突っ込みが飛んで来そうな質問ですが、前を見てるのは大前提です。では、前の何処を見ていますか?すぐ前の自動車や道路を見るのではなく、少し遠くを見るようにしましょう。2~3台前位の自動車を見るような感覚でしょうか、進行方向の道の先を見る事によって視野が広くなり、様々な情報が得られます。運転が上手な人とそうでない人の大きな差は「視野の広さ」と言われています。すぐ目の前の車を見ていては、急ブレーキになる可能性が高くなりますが、2~3台前の自動車を見ていると、ブレーキを早めに踏む事が出来ます。またその運転の様子から危険を察知する事も可能です。

 カーブを曲がる際は、カーブの出口方向を見るようにします。ある程度きついカーブの場合は、首を動かして頭ごと出口方向へ向けましょう。

 信号を見る時等も、これから通行する先の信号を見る時に、その交差点の歩行者信号を見る事によって、信号の変わるタイミングをある程度予測する事が出来ます。自分がその交差点を通過出来そうなのか、また止まらなければいけないのかの判断をする事が出来ます。余裕を持った運転が出来れば、「急に信号が変わった!」と慌てる事も無く、強行突破してしまうシチュエーションを減らす事も出来ます。歩行者信号も、連動式や歩車分離式があるので適切な判断が必要です。

 10秒に1度は、ルームミラー・サイドミラーを一瞥する事により、周囲の車の状況等を把握する事が出来ます。進路変更しそうな車がある、左側に原付が走っている、脇道から子どもが飛び出して来るかも知れない等、常に周囲を把握して「~かもしれない」運転を心掛ける事が、交通を円滑に進める事が出来、交通事故等を未然に防ぐ事に繋がります。  ミラーは見ていない時にでも、視野と意識の片隅に、常に置いておく事が大切です。視野を広く持ち、より多くの情報が得られれば、それだけ運転に余裕が生まれる為、スムーズな運転が可能になります。

●運転操作のコツ

◇バック駐車のコツ

 スッと止まってスパッとスマートに駐車出来たらカッコイイし気持ちいいのに、なかなか上手くいかないなと苦手意識が定着してしまっている人も多いですよね。なぜ苦手な人が多いのかと言うと、これも車両感覚が大きく影響しています。

 まず、駐車位置に対して平行に自動車を停止させるのではなく、駐車したいスペースにお尻が向くように頭を振りましょう。これだけで相当難易度は下がります(車両を駐車スペースに対して斜めに向けるイメージです)。

 次に、駐車スペースに白線が引いてある場合は、白線の頂点内側に、タイヤが通るようなイメージで、ハンドルを逆に切りながらバックしていきます。隣のスペースに駐車車両がある場合は、駐車車両の角を目標にしても構いません。

 後輪が目標を通過した辺りから、ハンドルを戻していき、車体の向きを微調整して駐車します。この一連の操作の際も、車両がどこを通るかイメージしながら操作していくことが大切です。  ハザードを点けて、慣れない内は慌てずにゆっくりと操作するようにしましょう。前輪を意識する必要はないので、後輪を意識して操作すると上手くいきますよ。

◇アクセル操作のコツ

 アクセルの加減が苦手で、スイッチ操作(ON・OFF)になっている人も結構見かけます。上手なアクセル操作が身に付くと低燃費運転にも繋がりますし、車間距離の調整もアクセル操作のみで行える様になります。

 まず、アクセルペダルの踏み方ですが、踵を床に付けてゆっくりじわっと踏むようにしましょう。踵を付ける事によって足が安定して、細かいアクセル操作が出来る様になります。

 発進はゆっくりじわっと踏み込み、加速時はそこから更に踏み増していく感覚です。減速や車間を調整する場合は、アクセルの踏み加減を調整します。

 一定速度で巡航する時にも、アクセルの踏み加減で速度を一定に保つ様に調整します。平地では、目的の速度に達した段階で、アクセルは踏んでいるが速度が上がりも下がりもしない状態(この状態をパーシャルと言います)を保ちます。そこから交通状況や、道路の加減(上り下り)等に応じて、アクセルを踏み増す、抜くといった操作を行います。上り坂になると減速してしまっている人がいますが、これは上り坂に差し掛かっても、アクセルを踏み増せていない為に、速度が落ちるのが原因です。状況に合わせた適切なアクセル操作が、スムーズな運転を行うコツになります。

 「アクセルの細かい操作なんか、言われてもわからない」という人は、まずアクセルを全開と全閉の位置から5段階位に分けて踏む練習を意識的にしましょう。これに慣れてくれば、更にそこからアクセル操作の段階を増やしていきます。そうする事で、細やかなアクセル操作の感覚を身に付ける事が出来ます。

 踏み加減の段階をなんとなく掴めてきたら、次は前走車との車間距離をアクセル操作だけで一定に保てるように練習してみましょう。これが出来る様になれば、かなりアクセル操作には慣れてきている証拠です。あとはその感覚が無意識で出来るレベルまで練習あるのみです。全ての操作に言える事ですが、練習中に大切なのは、常に意識して考えながら練習する事です。

◇ブレーキ操作のコツ

 ブレーキ=「思った速度に減速する」「止まるまで踏めばいい」と思っている人が多いと思います。ブレーキも考え出すと奥が深く、スムーズな運転には重要な役割を果たしています。

 ブレーキを踏んだ時に、ドライバー本人はハンドルを握っていますので気付きにくいですが、助手席の人や後部座席の人は体が前に動いたりしていませんか?これは車酔いの原因にもなります。適切なブレーキ操作を身に付ければ、ブレーキの衝撃を同乗者に伝えない運転が出来る様になりますよ。

 基本的な踏み方ですが、ブレーキペダルも踵を床に付けて踏むようにしましょう。ブレーキもスイッチ操作の人が多いですが、適度に調整を出来る様に練習をします。

 「ブレーキを踏み増す、抜く」の練習の前に、そもそものブレーキの踏み加減の感覚を身に付ける練習から初めてみましょう。まず、目標物(点)を設定してそこで停止する練習です。「普段から運転しているんだから出来て当たり前」と思われるかも知れませんが、この練習はブレーキ感覚の練習の為、一度踏み込んだブレーキを「そのまま一定の踏み加減のまま」目標物(点)で止まる練習です。踏み増しても抜いてもいけません。これは思っているより難しいはずです。まずは同じ速度、同じ位置からブレーキを踏んで、目標物(点)で止まれるようにしましょう。これが出来る様になったら、次はブレーキを踏み始めるタイミングを変えます。早く踏み始めた場合と、遅く踏み始めた場合で同様に止まれる様に練習します。これで、適切な距離感とブレーキの踏み加減を身に付けます。

 次は、同乗者に優しいブレーキの練習をしましょう。加速Gと減速Gが掛かるのが、乗り物酔いの大きな原因になります。アクセルオンの状態から、アクセルを抜いていきなりブレーキを踏むと、減速Gが大きくなり、体が振られやすくなる為、この一連の動作をスムーズにします。

 まず、アクセルを完全に抜いた後、いきなりブレーキを踏むのではなく、ワンテンポおいて踏む様にしましょう。その為には、前項で説明したアクセル操作のコツが生きてきます。アクセルを踏み込んだ状態よりも、パーシャルや抜き加減からスムーズに抜く事によって、加速Gの影響が少なくなります。ここから、ファーストタッチはブレーキを優しく踏みます、次に強めに踏み込んである程度減速したら、停止に向かってブレーキを抜いていきます。停止前にブレーキを緩めていく事によって、減速Gが減少し、なめらかな停止が可能になります。目標は、同乗者にブレーキを感じさせないブレーキングが出来る運転です。

◇左足ブレーキ

 近年、AT車による踏み間違い事故が社会問題になっています。そもそも踏み間違えをしない様に、左足でブレーキ踏めばいいんじゃないの?という声も度々持ち上がります。では、なぜそれでも現状、左足ブレーキは普及していないのでしょうか?

 左足ブレーキ(または左足ブレーキング)はブレーキペダルの操作方法の一つになります。左足ブレーキのメリットは、右足と左足で、アクセルとブレーキの分業が出来る事により、踏み間違えが防止が出来ます。その他に、アクセルとブレーキが同時に操作(コントロール)出来る様になる事もメリットです。そもそも左足ブレーキは、レースシーンにおいて昔から活用されてきたテクニックの一つです。アクセル操作とブレーキ操作を同時に行う事により、細やかな荷重移動が可能になります。一方、デメリットとしては、現在の自動車は、そもそもブレーキペダルを右足で踏む事を想定して作られていますので、全体的に中心よりは右寄りにペダルが配置されている為、左足では若干ブレーキを踏み辛い構造になっています。

 また、ずっと右足でブレーキを踏んでいた人が、左足で適切なブレーキ操作を行うのは極めて難しくなります。普通に踏むだけでも相当なカックンブレーキになるでしょうし、調整も大変になるでしょう。緊急の際に、思いっきりブレーキを踏み込めない可能性もあります。慣れてくると、操作への余裕が生まれる為に、非常に有効なテクニックにはなるとは思うのですが、左足の操作感覚に慣れる迄が大変になります。  もし、興味のある人は、実際に何も無い所で練習してみるのもいいと思いますが、くれぐれも咄嗟の時に確実に適切な操作が出来る様になる迄は、公道では実践しないで下さいね。

●高速道路の運転のコツ

 高速道路に苦手意識がある人もいらっしゃるかと思います。ジャンクションやインターチェンジの様に車が合流する地点に加え、車線変更や単純にスピードに苦手ポイントに感じられる方も多いのではないでしょうか。

 高速道路の運転のコツの大原則として、「一般道よりもミラーによる周辺状況の把握を細かく行う」「緊急時や渋滞時以外等は、フットブレーキは極力使わない」が上げられます。ではもう少し細かく見ていきましょう。

写真は国土交通省 高速道路開通情報より

https://www.hanshin-exp.co.jp/drivers/douro/index.html

◇合流、車線変更のコツ

 高速道路苦手な人にとっての第一関門が合流です。「車が来てるから入れない」「タイミングがわからない」「そもそも恐怖心がある」等のお声をよく耳にします。スムーズな合流を行う為の方法ですが、思い切りが大切です。と言われても「え~!」ですよね。でも「思い切り」はあながち間違いではありません。入口ゲートを通過したら、加速車線をめいいっぱい利用して、十分な車間距離を取って加速して本線に入りましょう。ここでのんびりしているのはNGです。またルームミラーで後続車を確認する様にしましょう。

 合流時に、本線上に他の自動車がいても問題はありません。本線に合流する位置を見定めて(この自動車の前or後ろに入る等自分で決める)その位置に自分の車が来るよう加減速して調整します。適当な位置にくれば、本線上の自動車の流れの速度に、自分の速度を合わせます。速度が同じであれば、合流する前の自動車に追突する事も、後ろの自動車と事故になる事もありません。位置と速度が合えば、あとは合流するだけです。この際、周りの交通状況も配慮する必要があります。合流地点の先で渋滞や遅い自動車がいる場合は、前走車が減速する場合もありますし、自分が入ろうと思っている所に、追い越し車線から車線変更してくる自動車がいるかも知れません。余裕を持って視野を広く適切な判断をする事が大切です。車線変更の時も同じ要領で行います。

国土交通省「走行支援サービスに資する地図の要件定義書(案)」より

https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0848pdf/ks084815.pdf

◇車線変更のコツ

 走行車線から追い越し車線へと車線変更する場合、追い越し車線の状況をよく確認します。車線変更が出来そうであれば車線変更を行うのですが、追い越し車線へ車線変更する場合は、追い越し車線の自動車の流れに合わせて加速する必要があります。

 走行車線の走行速度で追い越し車線へ車線変更を行い、車線変更後に加速を開始する人が多いですが、これは交通の流れを著しく乱し事故の原因になる為止めましょう。車線変更を行う前から、追い越し車線の流れに合わせて加速を開始しながら、車線変更を行い、車線変更完了後は流れに合わせます。

 追い越し車線走行中、後ろから自分より速い自動車が接近してきた場合は、進路を譲る必要があります。速やかに走行車線に戻りましょう。また、ずっと追い越し車線を走行する事自体が違反になります。  逆に走行車線に戻る場合ですが、走行車線の流れに合わせて、追い越し車線上で減速をしてはいけません。走行車線に車線変更をしてから、流れに合わせて減速を行います

◇車間距離調整のコツ

 高速道路上では、車間距離や速度の調整はなるべくフットブレーキを使わずに行います。ブレーキランプを無暗に点灯させる事により、連鎖的に後続車もブレーキを踏み、結果的に謎の渋滞が発生する原因となります。無駄な加速をせず、アクセルの加減で調整しつつ、十分な車間距離を維持しましょう。エンジンブレーキ速度調整お併用して速度調整しましょう。

 マニュアル車に乗る人はエンジンブレーキと言えば馴染み深いかも知れませんが、教習所以来乗車していない人や、AT限定免許の人には馴染みが無いかも知れません。最近のAT車でも、マニュアルモードが付いてる車は多いので、その場合はギアを1つ下げる事によって、エンジンブレーキを効かせる事が出来ます。マニュアルモードが無い場合でも、ODボタンがシフトに付いている場合は、これを活用することによって効果的にエンジンブレーキを使用する事が出来ます。

 ODボタン(オーバードライブ)は、AT車において、一段上のギア迄使える様にする為の機能です。普段は基本的にONのままにしていますが、このボタンをOFFにする事によって、一時的にギアを1段下げる事が出来ます。付いてる場合は活用しましょう。

●天候による運転のコツ

◇雨の日の運転のコツ

 雨の日が苦手だと仰る方もいらっしゃいますね。確かに雨の日の運転は危険度は上がりますが、苦手意識を持つ必要はありません。

 雨の日は視界が悪くなり、路面も濡れている為、スリップ等も起こしやすい状況になっています。視界への対処は何と言ってもワイパーゴム等を日常点検し、拭き取りが悪いと感じたら早めに交換するのが先手必勝です。最初にも起筆しましたが、視界の確保は余裕を持った運転への第一歩です。

 雨が強く視界が悪い場合は、ヘッドライトを点灯しましょう。これは自身の視界確保のみならず、周りの自動車に自分の存在を知らせる為でもあり、交通事故の防止に大いに役立ちます。また、見落としも発生しやすくなりますので、周囲の状況把握と安全確認もいつもよりも入念に行いましょう。

 滑りやすい路面状況への対応は、いつもより速度を落として走行する事が基本です。全ての操作に、いつも以上の余裕を持てる範囲で運転する事が大切になります。交差点やカーブ等では、特に注意して速度を落とすようにしましょう。

◇雪道の運転のコツ

 雪国の人は毎年の事なので鍛えられていますし順応出来ますが、問題なのは雪国以外の地域の人達です。たまに雪が積もるとたちまち交通マヒに陥ります。今回は、雪道に慣れていない人向けの基本の説明をしていきます。  

 雪道運転の前に、心構えとして。

1.     滑り出したら止まるのは難しい。
2.     スタッドレスタイヤでも過信はしない。
3.     自分が大丈夫でも、他の自動車が突っ込んでくる場合がある。
4.     雪用装備無しでは運転しない。
5.     極低速でも、事故に繋がる。

 以上の点をよく心に刻んだ上で、運転の仕方を見ていきましょう。

 雪道は「雪の上」なので勿論滑ります。そこでスタッドレスタイヤの登場なのですが、溝が無くなってきている物や、古くなったスタッドレスタイヤは交換しましょう。

 雪道の運転において、全ての操作に対して、「急」のつく操作は厳禁となります。「急加速」「急ブレーキ」「急ハンドル」を行うと、コントロールを失う原因になります。

 アクセル操作は、ゆっくりじわりと踏みながら発進し、加速もじんわり踏んで行うようにしましょう。スピードを出すのはくれぐれも厳禁です。

 減速時も、エンジンブレーキを活用する様にします。ブレーキ操作自体も、優しくじんわりと踏み込んで操作します。雪道では非常にタイヤが滑りやすくなります。現在の自動車には、ABS装置がほぼ100%装備されています。ABSがあれば、タイヤはロックしないので大丈夫と言う人を見かけますが、これは正解のようで実は間違いでもあります。

 タイヤ自体はロックしませんが、質量の大きな自動車に制動力が負けて、タイヤは回っていても滑り出す事もありますし、これは極低速でも発生します。一度スリップしだすと、もうそこからは制御不能に陥りますので非常に危険です。一度、安全な場所で強めにブレーキを踏んで、スリップした状態を体験しておく事も大切です。

 「交通量の多い交差点」「橋の上」「トンネルの出口」はアイスバーンになりやすくなっています。これらの場所を通過する際は、基本的に「滑る」と思っている方が対処出来ます最近のスタッドレスタイヤは性能がよく、アイスバーン上でもまだ使える様にはなってきていますが、それでも過信は禁物です。カーブ等を走行する場合も、非常に滑りやすい為十分に速度を落として通行するようにしましょう。今まで説明してきた操作技術が身に付いていれば、雪道の運転自体はそれ程難しいものではありません。ただ、どれだけ自分が注意して運転をしていても、他の自動車が突っ込んできて巻き込まれる事もあります。これは回避自体が難しくなるので、これが雪道運転の怖い所でもあります。

●トラック運転のコツ

 普段はトラックを運転しなくても、トラックを運転しなければならない場面があるかも知れません。そんな時の為に、トラックの運転のコツや注意点も少し予習しておきましょう。

 大きなトラックを基準にお話ししていきますが、現行の普通免許で乗れるトラックは、かなり小さなサイズになりますので、そこまで心配する必要はないと思いますが、中型(8t限定)をお持ちの人ですと、4tトラックが運転出来るので、参考にして頂けたらと思います。

◇右左折のコツ

 乗用車との違いは何と言っても車体が大きく長い事です。特に、後輪から後ろの荷台部分、オーバーハングと呼ばれる部分が長くなります。リアのオーバーハングが長いと、右左折の際に、オーバーハング部分が隣の車線等、車体が走行していた位置よりも、外側に振り出される事になります。これを理解し注意していないと、隣の車線や対向車線の自動車に接触事故を起こす事になります。また、車体が長い分ホイールベースも長くなり、その分内輪差も大きくなります。想像よりも内側を巻き込むので、乗用車感覚で運転すると接触の原因となります。  左折の場合なら、前輪主導ではなく、路肩の白線に後輪を沿わして曲がっていく様にしましょう。右折時は白線等が無いのでわかりにくいですが、交差点の中心部分の少し内側に左の前輪が来るようなイメージで回っていくと上手くいきます。

◇ブレーキのコツ

 2tトラック迄は、乗用車と同じブレーキが搭載されていますが、4tトラックになると、エアブレーキといったブレーキが搭載されています。読んで字の如く、エアーの圧力でブレーキを効かせるのですが、ブレーキの感覚が、通常のブレーキのソレとは大きく異なり、初めて乗った人は戸惑いを覚えることでしょう。特に低速での操作が難しく、踏まなければ全然効きませんし、かといって踏むと効きすぎてガクンとなります。

 この時のコツは、足の裏全体でペダルを踏むのではなく、右足の親指だけ踏み込んで操作する様なイメージ(感覚)で操作すると、比較的上手く細かなコントロールが出来る様になります。

◇意識するべきところ

 普段、乗用車を運転する際には殆ど気にする必要が無い事でも、トラックを運転する際には必要になる事があります。

 高さ表記や、通行可能な全長やトラックの標識です。高さが入らない所を通過しようとすれば、天井が衝突する事になります。これが鉄道の高架になると、軽く接触しただけで電車の運行を止めてしまう事になります。この場合、運休時間の賠償を請求される事もあります。

 「○t以上のトラック通行不可」「○tまで」等の標識も、乗用車ではあまり気にしませんが、よくみると実は結構あります。無視して進入すると、長さの問題で物理的に旋回出来ず、延々バックで戻る破目になって周囲に多大な迷惑を掛ける事になります。

 また、トラックは乗用車よりも質量が大きくなりますので、事故になった際は、相手の乗用車に多大なダメージを与える事になります。トラック対乗用車では、乗用車側の乗員の死亡事故に繋がるケースもあります。その事を肝に銘じて、無理の無い余裕のある安全運転を心掛けましょう。

●まとめ

 基本的な運転のコツについてお話させて頂きました。教習所を卒業してからは、中々人に運転の事を聞く機会がないので、なんとなく我流で運転しているという人や、苦手意識をズルズルと引きずったまま運転している人も多いと思います。運転技術が向上すれば安全運転に繋がります。みなさんの良きカーライフのお役に立てば幸いです。