12か月点検と6か月点検の違い

 自動車の点検には、法定点検とその他の点検があります。法定点検とは、道路運送車両法で定められた点検整備の事で、車の所有者が定期的に行わなければならない義務になります。一般的に、自家用車と呼ばれる車(普通車・軽自動車)の場合、12ヶ月点検(1年点検)と24ヶ月点検(2年点検)があります。

 法定点検については『急がば回れ!「車検以外の点検の必要性」』でも紹介しておりますので、そちらも併せてご覧下さい。

●路上事故の実態

 ではまず、12か月点検と6ヶ月点検の違いをお伝えする前に、「路上事故の実態」をお伝えしたいと思います。「防げたはずの事故」はどうして起こってしまうのでしょう?

 それは日頃から「点検」を大切にしているかどうかの違いです。タイヤは「摩耗してますよぉ~」とは言ってくれません。

 私達が常日頃から、すり減り具合や傷が無いか等点検する事で、走行中の事故を防ぐ事が出来ます。
「そんな事言われてもよくわからない」「タイヤくらいだったらまだしも、オルタネータ?トランスミッション?」とユーザーの皆様が、気が重くなるのも理解できます。

 お車の利用者であるお客様と、私達整備士は本来パートナーの関係にあります。車に関する装置や機械的な部分を整備士が担う事で、お客様の心のご負担が少し軽くなって、安心してお車を利用する事が出来る。
機械的な事がわからなくても、タイヤの交換が出来なくても、そこは私共整備士が行います。

 ただお客様にもお車の事を知って頂けたらとも思っています。今回、路上事故の実態をご覧頂くと共に、点検の大切さをご理解頂けたらと思います。

【事故部位別発生件数の割合】

 一般道路高速道路
故障部位発生割合主な故障状況故障部位発生割合主な故障状況
1位タイヤ35.6%・パンク、バースト
・空気圧不足
タイヤ59.3%・パンク、バースト
・空気圧不足
2位バッテリー27.8%・過放電
・破損、劣化
・端子部接続不良
・液不足
潤滑油4.6%・オイル不良
・オイルバンからの漏れ
3位オルタネータ5.9%・ブラシ不良
・レギュレーター不良
・ダイオード不良
・コイル断線
冷却水3.8%・不足、水漏れ
・汚れ
・凍結
4位冷却水2.3%・不足、水漏れ
・汚れ
・凍結
オルタネータ3.6%・ブラシ不良
・レギュレーター不良
・ダイオード不良
・コイル断線
5位クラッチ1.5%・すべり
・オイル漏れ
・ワイヤ(リンク)不良
・切れ不良
クラッチ1.6%・すべり
・オイル漏れ
・ワイヤ(リンク)不良
・切れ不良
6位トランスミッション
(A/T)
1.5%・ギヤ操作不能
・オイル漏れ、不足
・異音
トランスミッション
(A/T)
1.5%・ギヤ操作不能
・オイル漏れ、不足
・異音
7位潤滑油1.2%・オイル不良
・オイルバンからの漏れ
バッテリー1.4%・過放電
・破損、劣化
・端子部接続不良
・液不足
8位スタータ1.1%・リレー不良
・端子部接続不良
・かみ合い不良
・イグニッションスイッチ不良
ファンベルト0.9% 
9位ファンベルト0.9% ラジエーターファン0.7% 
10位ラジエータファン0.7% クリップ・ハブ・ベアリング0.5%・ゆるみ
・異音
・焼き付き
 その他21.3% その他22.0% 
国土交通省「令和元年路上故障の実態調査結果」を引用して表を作成

 この様に、走行中の故障で一番多いのは、一般道路でも高速道路でもタイヤである事がわかります。先程も述べましたが、日常の点検を実施する事で走行中の故障を未然に防ぐ事が可能です。もし「どこをどんな風にみたらいいの?」とちょっとでも思われましたら、遠慮なくお声掛け下さい。納車のタイミング等を利用して日頃実施出来る事、お伝え出来たらと思います。

マイカーセルフチェックはいずれも
国土交通省 自動車点検整備推進協議会「マイカーセルフチェック」より引用して作成

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●法定12か月点検

 12か月点検の詳細について、点検項目毎にまとめます。

◇ブレーキ廻りの点検

ブレーキペダル遊び及び踏み込んだ時の床板とのすき間

ブレーキペダルの操作性が適切に確保されているかの点検を行います。
ブレーキペダルの遊びが大きすぎてもブレーキの効き始めが遅れ支障が出ますし、逆に小さ過ぎても、ブレーキの効き始めが過敏になる為危険になります。
ブレーキペダルの遊びや、踏み込んだ時のすき間によってもブレーキの状態を把握する事が可能です。
踏み込んだ時の隙間が小さくなっている場合には、ブレーキパッドの残量低下や、ブレーキオイルの残量低下、ブレーキオイルの漏れやブレーキ配管にエアが噛んだりしている可能性が考えられます。

駐車ブレーキ機構サイドブレーキレバーの引きしろ、サイドブレーキペダルの踏みしろ、ブレーキの効き具合

サイドブレーキが適切に機能しているかの点検を行います。
ブレーキの引きしろや踏みしろから、サイドブレーキが適切に調整されているか、判断する事が可能です。
これらが適切でない場合は、ブレーキの効き具合にも影響しますので、適切に調整を行う必要があります。
また、リアブレーキがフットブレーキとサイドブレーキが別体式でなく、一体式のドラムブレーキの場合には、サイドブレーキの調整具合によってフットブレーキの効き具合にも影響を及ぼすので、よく注意して調整する必要があります。

マスタ・シリンダ液漏れ

ブレーキのマスターシリンダーと呼ばれる部品を介して、ブレーキペダルの踏力を各ブレーキに伝えて制動力を発生させます。
ブレーキ装置において重要な部品になりますので、この部分にブレーキオイルの漏れがないかの点検を行います。

ブレーキホース・パイプの漏れ、損傷、取付状態

車体のブレーキホース・パイプの状態の点検を行います。
ブレーキパイプの多くの部分が、自動車の下廻りや足回り等に露出している事が多い為、何か腐食や損傷等が無いか、取付状態は適切かどうか等の点検はとても大切です。
ホースやパイプは一本物ではなく、途中で継いであったり、ホースとパイプの接続部分等もある為、それらの箇所に漏れがないかの確認をします。

ブレーキ・ディスクとパッド及びディスク・キャリパ  ディスクとパッドのすき間、パッドの摩耗、ディスク・キャリパの液漏れ

ブレーキパッドとブレーキローター、ブレーキキャリパーの状態の点検を行います。
ブレーキパッドとブレーキローターのすき間が適切で無い場合には、ブレーキの引きずり等に繋がります。
すき間が狭く、パッドが適切な位置に戻っていない場合には、ブレーキキャリパーの固着等が考えられます。
ブレーキパッドの残量を確認すると共に、摩耗具合からもブレーキキャリパーの固着や引きずり等の不具合を判断する事が出来ます。
ブレーキキャリパー内シール等も劣化するので、オイル漏れが無いかの点検を行います。
ブレーキパッドのバックプレートの清掃を行い、バックプレートやブレーキシムのグリスアップを行います。

ブレーキテスタ等ブレーキの効き具合

ブレーキテスタ等を用いて、実際のブレーキの効き具合を測定します。効きが弱い場合には、ブレーキオイルの漏れやブレーキの調整が適切でない、またはブレーキの固着等が考えられます。

ホイール・シリンダ液漏れ

ブレーキのホイールシリンダーからブレーキオイルの漏れがないかの点検を行います。
ブレーキキャリパーと比べると、比較的ブレーキオイルの漏れが起こりやすい部品になりますので、きっちりと確認する事が大事になります。

ブレーキ・ドラム及びブレーキ・シュードラムとライニングのすき間、シューの摺動部分及びライニングの摩耗

ブレーキドラムとブレーキライニングの点検を行います。
ブレーキドラムとブレーキライニングのすき間が適切ではない場合には、フットブレーキやサイドブレーキの効きに直結します。
すき間が大き過ぎれば、ブレーキの効きが弱くなりますし、小さ過ぎる場合にはブレーキの引き摺りが発生し、ブレーキドラムやブレーキライニングの異常摩耗、異常に熱を持つ事によって、ホイールベアリングやホイールシリンダー内部の損傷、最悪の場合はブレーキドラムの割れや車両火災に繋がる事もあります。
ブレーキライニングの摩耗も確認し、偏摩耗等がある場合には、ブレーキライニングの摺動部分の動きが悪かったり、ホイールシリンダー内部の固着等が考えられます。
ドラムブレーキの内部やパックプレートを清掃し、ブレーキライニングの摺動部分にグリスアップを行います。

◇クラッチの点検

クラッチ・ペダルペダルの遊び及び切れた時の床板とのすき間

クラッチペダルの点検を行います。クラッチペダルの遊びは、クラッチの操作加減を大きく左右する為、適切に調整しておく必要がありますが、クラッチペダルの遊びは個人の好み等が比較的出やすい部分ですので、お客様の要望を聞きながら適切な範囲内で必要に応じて調整を行います。
クラッチペダルもブレーキペダルと同様に、踏み加減や踏みきった時のすき間からクラッチの残量やエアの混入、クラッチオイルの漏れや残量等を判断する事が出来ます。

◇冷却装置の点検

冷却装置ファン・ベルトの緩み及び損傷、水漏れ

自動車の冷却装置の点検を行います。
昔の自動車は、エンジンの冷却ファンをベルトで廻している物が多く、今でもトラック等、一部の車種ではこの方式を採用しています。
また、ウォーターポンプの駆動をファン・ベルトで行っている車種も多くありますので、ベルトの緩みや損傷が無いかの点検を行います。
ベルトの状態が適切ではない場合には、これらの冷却装置が適切に作動せず、オーバーヒート等に繋がる恐れがあります。
ベルトが切れてしまった場合には、これらの冷却装置が作動しないと、オーバーヒートするだけでなく、オルタネーターの駆動ベルトも兼用している場合が多い為、発電が出来なくなり自動車が止まってしまいます。
冷却水も同様に、漏れ等があればオーバーヒートに繋がる為、よく点検する必要があります。

◇操舵装置の点検

ギア・ボックス及パワーステアリング装置ベルトの緩み及び損傷

パワーステアリングのポンプを駆動しているベルトの状態の点検を行います。
ベルトの状態が適切でないと、正確にパワーステアリング装置のアシストが作動しない事があります。
ベルトが切れてしまうと、完全にパワーステアリング装置が作動しなくなります。

◇エンジン廻りの点検

点火装置点火プラグの状態、点火時期、ディストリビューターのキャップの状態

エンジンの点火装置の点検を行います。
点火プラグの摩耗具合や、焼け具合、電極のすき間等を確認する事によって、適切に点火が行われているか確認を行います。
摩耗具合や焼け具合などから、点火装置や燃料系統の異常等を発見する事が出来ます。
最近の自動車では使用される事が多くなっている、白金タイプやイリジウムタイプの長寿命の点火プラグでは、点検を省略する事が出来ます。
今では少なくなりましたが、ディストリビューターを使用している自動車では、点火時期やディストリビューターキャップの状態の確認も行います。
キャップ内の接点に摩耗や損傷等があると、適切に点火が行われずに不調などの原因となります。

エア・クリーナーエア・クリーナ・エレメントの状態

エアクリーナーの点検を行います。
取り外して清掃や、汚れが酷い時や損傷がある場合には交換を行います。

エンジンオイル潤滑装置の油漏れ

エンジンオイルの量と、漏れがないかの点検を行います。
エンジンオイルの減少がある場合には、エンジンオイルの漏れやエンジン内部でエンジンオイルを消費している可能性があります。
これらの原因でエンジンオイルが減少すると、エンジンの焼き付き等に繋がります。

エンジン排気の状態

テスタを使用して、排気ガスの状態を点検します。
排気ガス中のCO(一酸化炭素)HC(炭化水素)の濃度を測定する事によって、適切な点火が行われているか、新鮮な空気が供給されているか、燃料の状態が適切であるかの判断が出来ます。

◇バッテリーの点検

バッテリ等ターミナル部の接続状況

バッテリーが適切に接続されているかの点検を行います。

◇足廻りの点検

タイヤタイヤの状態

タイヤの状態の点検を行います。空気圧が適切か、異常な摩耗や損傷がないか、溝の深さはあるかなどを点検します。
異常な摩耗等がある場合には、足廻りのアライメントに不具合が生じている場合可能性があります。

クリップ・ボルトホイール・ナット及びホイール・ボルトの緩み

ホイールナットに緩みがないか、適切なトルクで締められているのかを点検します。
12か月点検を行う際には、タイヤを外す必要があるので、実際にはタイヤを取り付けてナットを規定のトルクでの締め付けを行います。

◇駆動系の点検

トランスミッション及びトランスファ油漏れ及び油量

トランスミッションにオイル漏れがないか、オイルの量が適切かの点検を行います。
オイル漏れがあったりして、オイルが減少して量が適切でない場合には、変速不良や損傷等の原因になります。
また、オイルの量が多すぎる場合にも変速不良等の原因となります。

プロペラ・シャフト及びドライブ・シャフト連結部の緩み

プロペラシャフトやドライブシャフトの連結部分に緩み等がないかの点検を行います。
これらが不適切で、走行中に脱落等が起きた場合には、走行不能に陥る事があります。

◇マフラー類の点検

エグゾースト・パイプ及びマフラー及びCO等発散防止装置マフラ等取り付けの緩み、及び損傷

マフラー等が適切に取り付けられているか、損傷がないかの点検を行います。
取り付け部分等からの排気漏れや、腐食によって穴等が空いていないか、同様に腐食等で脱落の可能性がないかを点検します。

 以上が一般的な12か月点検の内容となります。

整備工場によっては、細かなサービス等に違いはありますが、記録簿上の点検項目は概ねこの様になります。

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●法定6か月点検

 それでは次に、法定6か月点検の内容を見て行きましょう。基本的には法定12か月点検の内容と同じですが、一部追加されている項目や、逆に省略されている項目があります。

 乗用車よりも、貨物車や事業用車の方が点検期間の間隔等が厳しく見られる為で、法定12か月 → 法定6か月 → 法定3か月の順番で厳しくなっていきます。

◇ブレーキ廻りの点検

ブレーキ・ペダル遊び及び踏み込んだときの床板とのすき間、ブレーキの効き具合

ブレーキペダルの操作性が適切に確保されているかの点検を行います。
ブレーキペダルの遊びが大きすぎてもブレーキの効き始めが遅れ支障が出ますし、逆に小さ過ぎても、ブレーキの効き始めが過敏になる為危険になります。
ブレーキペダルの遊びや、踏み込んだ時のすき間によってもブレーキの状態を把握する事が出来ます。
踏み込んだ時の隙間が小さくなっている場合には、ブレーキパッドの残量低下や、ブレーキオイルの残量低下、ブレーキオイルの漏れやブレーキ配管にエアが噛んでいる可能性が考えられます。
実際のブレーキの効き具合の点検も行います。

駐車ブレーキ機構サイドブレーキレバーの引きしろ、サイドブレーキペダルの踏みしろ、ブレーキの効き具合

サイドブレーキが適切に機能しているかの点検を行います。ブレーキの引きしろや踏みしろから、サイドブレーキが適切に調整されているのかを判断出来ます。
これらが適切でない場合は、ブレーキの効き具合にも影響しますので、適切に調整を行う必要があります。
また、リアブレーキがフットブレーキとサイドブレーキが別体式でなく、一体式のドラムブレーキの場合には、サイドブレーキの調整具合によってフットブレーキの効き具合にも影響を及ぼすので、よく注意して調整する必要があります。

ブレーキホース・パイプの漏れ、損傷、取付状態

車体のブレーキホース・パイプの状態の点検を行います。
ブレーキパイプの多くの部分が、自動車の下廻りや足回り等に露出していることが多い為、何か腐食や損傷等がないか、取付状態は適切か等の点検は大切です。
ホースやパイプは一本物ではなく、途中で継いであったり、ホースとパイプの接続部分等もある為、それらの箇所に漏れがないかの確認もします。

ブレーキ・ドラム及びブレーキ・シュードラムとライニングのすき間、シューの摺動部分及びライニングの摩耗

ブレーキドラムとブレーキライニングの点検を行います。
ブレーキドラムとブレーキライニングのすき間が適切でない場合には、フットブレーキやサイドブレーキの効きに直結してきます。
すき間が大き過ぎれば、ブレーキの効きが弱くなりますし、小さい過ぎる場合にはブレーキの引き摺りが発生し、ブレーキドラムやブレーキライニングの異常摩耗、異常に熱を持つ事によって、ホイールベアリングやホイールシリンダー内部の損傷、最悪の場合はブレーキドラムの割れや車両火災に繋がる事もあります。
ブレーキライニングの摩耗も確認し、偏摩耗等がある場合には、ブレーキライニングの摺動部分の動きが悪かったり、ホイールシリンダー内部の固着等が考えられます。
ドラムブレーキの内部やパックプレートを清掃し、ブレーキライニングの摺動部分にグリスアップを行います。

◇クラッチの点検

クラッチ・ペダルペダルの遊び及び切れた時の床板とのすき間、液量

クラッチペダルの点検を行います。
クラッチペダルの遊びは、クラッチの操作加減を大きく左右する為、適切に調整しておく必要がありますが、クラッチペダルの遊びは個人の好み等が比較的出やすい部分ですので、お客様の要望を聞きながら適切な範囲内で必要に応じて調整を行います。
クラッチペダルもブレーキペダルと同様に、踏み加減や踏みきった時のすき間からクラッチの残量やエアの混入、クラッチオイルの漏れや残量等を判断する事が出来ます。
クラッチオイルの液量が適切であるかどうかの点検も行います。

◇冷却装置の点検

冷却装置ファン・ベルトの緩み及び損傷

自動車の冷却装置の点検を行います。
昔の自動車は、エンジンの冷却ファンをベルトで廻している物が多く、今でもトラック等の一部車種ではこの方式を採用しています。
また、ウォーターポンプの駆動をファンベルトで行っている車種も多くありますので、ベルトの緩みや損傷がないかの点検を行います。
ベルトの状態が適切ではない場合には、これらの冷却装置が適切に作動せずに、オーバーヒート等に繋がる場合があります。
ベルトが切れてしまった場合には、これらの冷却装置が作動せずにオーバーヒートするだけでなく、オルタネーターの駆動ベルトも兼用している場合が多いので、発電が出来なくなり自動車が止まってしまいます。

◇操舵装置の点検

ギア・ボックス及びパワーステアリング装置ベルトの緩み及び損傷

パワーステアリングのポンプを駆動しているベルトの状態の点検を行います。
ベルトの状態が適切でないと、ポンプをきっちりと駆動させることが出来ずに、正確にパワーステアリング装置のアシストが作動しない場合があります。
ベルトが切れてしまうと、完全にパワーステアリング装置が作動しなくなります。

◇エンジン廻りの点検

点火装置点火プラグの状態、点火時期

エンジンの点火装置の点検を行います。点火プラグの摩耗具合や、焼け具合、電極のすき間等を確認する事によって、適切に点火が行われているか確認を行います。
摩耗具合や焼け具合等から、点火装置や燃料系統の異常等を発見する事が出来ます。
最近の自動車では使用される事が多くなっている、白金タイプやイリジウムタイプの長寿命の点火プラグでは、点検を省略する事が可能です。
適切な点火時期であるかどうかの点検も行います。

潤滑装置油漏れ

エンジンオイルの量と、漏れがないかの点検を行います。
エンジンオイルの減少がある場合には、エンジンオイルの漏れやエンジン内部でエンジンオイルを消費している可能性があります。
これらの原因でエンジンオイルが減少すると、エンジンの焼き付き等に繋がります。

エンジン排気の状態、エア・クリーナ・エレメントの状態、エア・クリーナの油汚れ及び量

テスタを使用して、排気ガスの状態を点検します。
排気ガス中のCO(一酸化炭素)HC(炭化水素)の濃度を測定する事によって、適切な点火が行われているか、新鮮な空気が供給されているか、燃料の状態が適切であるかの判断が出来ます。
エアクリーナーの点検を行います。取り外して清掃や、汚れが酷い時や損傷がある場合には交換を行います。
エアクリーナーにブローバイガスによる汚れがないか、またどの程度油汚れがあるかの点検も行います。
ブローバイガスによる汚れが多い場合は、PCVバルブなどの不具合が考えられます。

◇足廻りの点検

ホイールホイール・ナット及びホイール・ボルトの緩み

ホイールナットに緩みがないか、適切なトルクで締められているのかを点検します。
12か月点検を行う際には、タイヤを外す必要があるので、実際にはタイヤを取り付けてナットを規定のトルクでの締め付けを行います。

◇駆動系の点検

トランスミッション及びトランスファ油漏れ及び油量

トランスミッションにオイル漏れがないか、オイルの量が適切かの点検を行います。
オイル漏れがあったりして、オイルが減少して量が適切でない場合には、変速不良や損傷等の原因になります。
また、オイルの量が多すぎる場合にも変速不良等の原因となります。

プロペラ・シャフト及びドライブ・シャフト連結部の緩み

プロペラシャフトやドライブシャフトの連結部分に緩み等がないかの点検を行います。
これらが不適切で、走行中に脱落等が起きた場合には、走行不能に陥ることがあります。

デファレンシャル油漏れ及び油量

デファレンシャルのオイル漏れとオイル量の点検を行います。

◇エア・コンプレッサの点検

エア・コンプレッサエア・タンクの凝水

大きなトラック等になってくると、エアブレーキが搭載されます。
これは油圧ではなく、エアの圧力を利用したブレーキになり、その為にエアを貯めておく為のタンクが必要になります。
エアタンク内で蒸発した水蒸気が凝縮して出来た水のことを「凝水」と言い、通常はエアドライヤが装着されている為に、そこまで貯まる事はありません。
この凝水が多く見られる場合には、エアドライヤの不具合等が考えられます。
凝水が貯まり過ぎたり、適切に排泄されないと、ブレーキ等に影響を及ぼします。

◇その他

シャシ各部の給油脂状態トラック等はシャシの各部や足回り等にグリスアップポイントがあり、これらの給油脂状態の点検を行います。

 以上が一般的な法定6ヶ月点検の内容になります。

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●まとめ

 法定12か月点検、法定6か月点検の違いとそれぞれの内容について紹介をさせて頂きました。
 お客様には、いつでも安心してカーライフを送って頂きたいと思っています。車検の合間の法定点検等はなかなか浸透していかない現状もありますが、「法で定められているから」では無く、こまめなメンテナンスが愛車と皆様の人生をよりハッピーにするのだという意識に少しでも繋がればと思っております。