車検の有効期限って?

 車を持つと、切り離せないのが車検です。この車検について、なぜ存在するのか、そしてどういうものなのか、どう受ければいいのか等について起筆していきたいと思います。

●そもそも車検って何?

 車検の正式名称は「自動車検査登録制度」と言います。この制度は、道路運送車両法に基づいており、自動車の登録と定期的な検査について定めています。自動車を検査登録する事で、安全確保が図られると共に、個々の自動車の識別が可能になります。「登録制度」となっているのは、車を所有する時に検査を通った上で持ち主を登録する為です。登録する事で持ち主を明確にし、車に対する責任者は誰かを明らかにする制度です。責任者と言われると重く聞こえますが、このおかげで車の盗難対策等、防犯にも活用されています。

 「自動車検査登録制度」は車社会の秩序を支える制度であり、検査と登録を受ける事によって、自動車は初めて社会的に認知された乗り物になります。この検査を受けなければ、日本が定めている道路(公道)と呼ばれるところを走る事は出来ません。

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●車検が必要となる車は?

 一般的には四輪自動車及び、排気量250㏄以上の自動二輪車に対して保安基準が適合しているかを検査します。他にも一部小型車、特殊車両についても公道を走る場合は車検を受ける必要があります。

 トラクター等農業で使われる車は、ナンバープレートが付いてない車が多いですよね。あれは農地(私有地)のみを走る目的で使っている為です。

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●車検の有効期限

 車検証の有効期限は、車の種別や用途により異なります。普通のご家庭で乗っている車の多くは、自家用乗用自動車か、自家用軽乗用車という種別になります。新車の場合は3年後、2回目以降の車検については2年後と決まっています。

 バイクは自家用二輪車(排気量250㏄超)という種別に分類されているので乗用車と同じ、初回3年、以降2年に振り分けられています。

 また一部の方は荷物を運ぶ為に、またはお仕事と兼用で使用する目的で、車に乗られている方もいらっしゃいます。これは自家用軽貨物車と呼ばれる種別になります。多くは軽バンや軽トラックと呼ばれる車になります。この軽貨物車の場合は、新車の時から2年毎に車検を受ける必要があります。

 同様に、仕事で使用される事が多い、自家用貨物自動車という種別は、トラックやバンを指します。車種でいうとハイエースバンやキャラバンになります。こちらは更に短く、最初の車検は2年、その後は1年毎に車検を受ける必要があります。

 ナンバープレートが黒色や緑色の運送車、事業用自動車も同じく1年ずつとなっています。

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●1ヶ月以上前に車検を受けてしまうと?

 車検が切らす事無くお車に乗り続けているユーザーが車検を受ける時は「継続検査」という検査を受ける事になります。継続検査は車検の有効期限(満了日)の1か月前から受検する事が可能です。この期間に車検に合格すれば、自家用乗用自動車の場合、車検満了日の翌日から2年後迄有効期限が延長されます。早めに受検しても、有効期限が短くなってしまわない様に、早く受けた方が損しない仕組みになっています。

 ここで「1か月以上前から受ければもっと安心!」と思われた方はちょっと待って下さい!車検の規則として、1ヶ月前から受検する事は可能ですが、1ヶ月以上前から受けてしまうと有効期限が短くなってしまう場合があります。1ヶ月以上前に受検する事も可能ですが、受検した日から車検の有効期間が始まる為、残っていた有効期限が消滅してしまいますので、早すぎる車検は注意が必要です。

 1か月以上前から受ける手段として、指定整備工場で受ける事により、最大45日前から受ける事も可能ですが、それが出来るかは整備工場によりますので、確認を取った上で手続きをする必要があります。日程の管理等、行き届いている整備事業者は事前に通達してくれますので、車検忘れ等がなくなります。

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●しまった!車検期限が過ぎた!そんな時は?

 うっかり車検の有効期限が過ぎてしまったら!車検が遅れてしまったからと言って検査そのもののハードルが上がったり、検査項目が増えるわけではありません。車検は、受検したから起算されますので、有効期限も日付も少し先の日付になります。「じゃぁ、もう少し置いといたら次の車検迄2年以上になるからお得じゃない⁉」と思われた方は要注意です。車検が切れる=お金が余計にかかるという事です。なぜなら、車検に切れた車は公道を走る事が出来ません。

 車検を受ける為には、車検工場か、運輸支局に持って行く必要があります。しかしながら行動を走れないという事は、レッカー車の手配をして運び込むか、仮ナンバーを発行して貰って車を運搬する必要があります。どちらにしても車検が切れてしまってからでは、余計な手続きが必要になり、費用も掛かりますので、面倒でも車検の有効期限内に受検する様にしましょう。

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●車検の切れた車で移動したら?

 車検の切れた車を、駐車場に停車させているだけでは罰則は発生しません。また、ナンバーが付いたままでも問題ありません。ですが、車検が切れた車を、公道で走行させると、びっくりするような罰則が待っていますので、間違っても運転しよう等とは思わないでください。

無車検走行の場合

 罰則罰金違反点数処分
無車検走行6か月以下30万円以下6点以上免許停止または免許取り消し

 車検が切れていた事に気づかず「うっかりなんです!」と言っても警察は聞いてくれません。例え故意では無かったとしても同様の罰則になります。

無保険走行の場合

 また車検が切れているという事は自賠責保険も切れている可能性があります。

 罰則罰金違反点数処分
無保険走行1年以下50万円以下6点以上免許停止または免許取り消し

 両方合わせると最大で80万円の罰金になる事もありますので、無車検の車に乗るのは単純に損するだけですので、注意しましょう。

※自賠責保険は、自動車に乗る時には必ず加入しなければならない保険です。これは自動車損害賠償保障法に基づいており、強制保険になっている為、未加入のまま車に乗ると厳しい罰則を受けます。通常は車検有効期限内の自賠責保険に加入していないと車検を受けられませんので、車検切れでない限り自賠責保険は残っています。被害者を補償する為の保険なので、事故による車や建物等物損に対して補償する任意保険とは全く別になります。

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●車検を受ける前に確認してみよう!

 まず、車の車検有効期限を確認してみましょう。通常では、フロントガラス中央天井側に正方形のシールが貼られていて、「車検ステッカー」と呼ばれています。車の外側には車検の有効期限の年と月が大きく書かれてありますが、日付は書かれていない為、有効期限が月初の場合うっかり過ぎてしまったという事があります。車検ステッカーの室内側には日付迄全て記入されてありますので、一度ご確認下さい。

車の外側
室内側

 ステッカーとは別に、車検証を見て確認する事も出来ます。車検証もステッカー同様、車に準備しておく義務がありますので、必ず車の中にあります。多くの方は助手席側のグローブボックスの中に、メンテナンスブックと一緒に入れていると思います。万が一車の中にも、家の中にも無くて見つからない場合は、急ぎ再発行しましょう!

 車検証やステッカー、自賠責は携帯義務がありますので、不携帯の場合、罰せられる可能性があります。

陸運局で再発行する事が可能ですし、普段メンテナンスを依頼している整備工場等に代行を依頼するのがよいのではないでしょうか。また車検を受ける必要があるとわかっている場合は同時に依頼する事が可能ですので、車検工場とご相談ください。

 3月の時点でお車をお持ちの場合は、通常5月に自動車税の振込票が送られてきます。車検を受けるに当たり自動車税が未払いの場合、新たに車検を受ける事は出来ません。ご自身の自動車税の支払いが完了しているかご確認ください。乗用車の場合、納税の有無の確認を取れれば、受検する事は可能ですが、軽自動車の場合は自動車税の支払いを運輸支局で確認する事ができない為、納税領収書がない場合は市役所に納税証明書を取りに行かなければいけません。

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●まとめ

 自動車検査登録制度(車検)がある事で、排気ガス等による公害の防止や、事故の減少・安全確保に繋がっています。自動車が増えれば増える程、車と社会の関係は密なものなります。車社会の秩序を維持する為には、厳しく取り締まる必要があります。

 2018年9月からは街頭検査に可搬式の「ナンバー自動読取装置」が導入されました。これにより、公道を走行する車の内、車検切れの車を把握する事が可能になっています。車検費用を惜しみ、「バレない」「車に異常は無い」と勝手に判断し、車検を放置するドライバーが少なからず存在します。

 この取り締まりがなぜ大切か、先程も少し起筆しましたが、車検が切れている=保険も切れているに繋がります。無保険車が引き起こす問題がどれだけ被害者を苦しませるかは、容易に想像がつきます。賠償金等お金の問題は言うに及ばず、何より精神的苦痛を余儀なくされます。車による事故は、加害者にも被害者にも辛く苦しい未来しか待っていません。そうならない為にも、お車のユーザーである皆様には、車検の大切さを再認識頂き、お車と上手に付き合って頂きたいと思います。「車検は面倒」な存在から「車検は必要なもの」としてご一考頂けましたら幸いです。